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人間と木の 長~いつきあい

弥生時代の遺跡に触れて


静岡市にある登呂遺跡をご存じですか?
弥生時代の水田跡が発見され、再現した住居の他、様々な出土品が飾られています。
静岡育ちの私にとっては昔から身近な存在なのですが、「昔の人の暮らしを知ろう」と、帰りに子供達と寄ってみました。ところが職業病でしょうか、私の方が夢中で見入ってしまいました。
弥生時代、コンクリートもガラスもプラスチックも無い時代。
家や道具や船などの代表的な生活道具のほとんどが 木、木、木!!
何というか、改めて人と木の深い歴史を感じました。

弥生時代の人々が実際に使っていた物が展示されています。

再現された住居の中は涼しく、至る所に暮らしの工夫が見えました。
弥生時代の人々が実際に使用していた道具が展示されていますが、上手く加工してあるものもあり、先人達の知恵や工夫を感じます。
眺めていると、2000年前から人々の暮らしに木がどれほど寄り添ってきているかを感じます。

社会で習った高床式倉庫のねずみ返しもありました、懐かしいです

木にぬくもりを感じる理由


「木ってなんか良いよね」
「木ってなんか暖かいイメージ」という声をよく聴きます。
マウスを使った有名な実験がありますが、コンクリート、金属、木製のゲージでそれぞれマウスを飼ったところ、木製ゲージのマウスが一番長生きしたという話です。これは、木は鉄やコンクリートに比べ、熱伝導率(熱が伝わる力)が低いことが大きな原因でした。
鉄やコンクリートは熱伝導率が高く、触ると熱がすぐに移動します、つまり人の熱を奪うので、触ると冷たい感じがするのです。一方、木材の中は細かい導管のお陰で空気に満たされていています。そのため熱を伝えにくく保温効果があります。
「木ってなんか暖かいイメージ」のなんか…には、人の体温を暖かく保てるという、きちんとした理由がありました。

人が木を愛する理由は、熱伝導の他に、香りの癒し効果など様々な科学的根拠が発表されています。
ただ今回、登呂遺跡を訪れ、大昔から人類にとって木が一番身近な素材であり、共に歩んできたという精神的な結びつきも、温かみを感じる大きな理由かな…としみじみ思いました。
いつも触れている愛おしい木材達に、改めて愛情を感じる出来事でした。

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