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UbuntuとLibreOfficeで裁判文書を作ろう 解説 証拠説明書


文書、書証の意味

文書とは、「文字等によって、作成者の思想・判断・認識が表現されたもの」です。

書証とは、民事訴訟法の法文上は、文書を証拠として取り調べる証拠調べ手続のことを指していますが、実務上は、証拠としての文書のことを書証と呼んでいますし、ここでもその意味で「書証」という言葉を使います。

また、写真、録音、録画などは文書に準じて、「準文書」と呼んだりします。

文書・書証の数え方

原則として、文書は、作成者の数で数えることになっています。例えば、売り主1人と買主1人との売買契約書は、文書としては2つということになります。

しかし、書証として数える場合には、書面1つで番号1つというのが原則です。

書証の符号の付け方

  1. 番号は、1、2、3…という順番で付けます。

  2. 原告提出の書証の符号は「甲」です。

  3. 被告提出の書証の符号は「乙」です。

  4. 原告が複数の場合は、「甲A」「甲B」…、被告が複数の場合は、「乙A」「乙B」と付けるのが通常ですが、「丙」「丁」などを使うこともあります。

  5. 参加人がいる場合の参加人提出の書証の符号は「丙」になり、順次「丁」「戊」などと続きます。

  6. 場合によっては、立証の目的の種類によって、A、B…と付することもあります。

  7. 最終的には裁判所が決めるので、証拠説明書を作成する前に、必ず裁判所に窓口、電話等で確認して下さい(原告1名で訴状を提出するときは、甲号証で作成して問題ありません)。

具体例

東京地裁民事第27部(交通部)は以下の書証についての指導があります。概ねどこの裁判所でも共通だと思います。

刑事記録

①全丁に通し番号を付すか(甲1、甲2…)、又は、②調書等の別に枝番号を付した上、それぞれに通し番号を付す(甲1の1、甲1の2…、甲2の1、甲2の2,,,)。

医療記録

  1. ①全丁に通し番号を付すか、又は、②診療録、看護記録等の種類別に枝番号を付した上、それぞれに通し番号を付す。

  2. 原則、電子データでの提出(CDなど)は不可。

  3. ①診療録等の外国語の部分については、朱書きするかラインマーカーを引いた上、訳文を付記する。②判読困難な部分についても、同様。

  4. レントゲン写真等のフィルムを書証化する場合には、あらかじめ裁判所と相談すること(必須!)。

写真

  1. 写真の撮影者、撮影日時及び被写体(撮影場所)を、証拠説明書に記載し、又は台紙に付記する方法により明示する。

  2. 事故現場写真については、撮影方向を記載した現場図面等を添付する。

  3. 複数の写真を提出する場合には、文書の標目を「写真撮影報告書」とした上、A4縦の用紙に貼り付けた上、各写真に通し番号を付する。

領収証(レシート類)

  1. 領収書等は費目ごとに整理する(治療費、交通費、雑費等)。

  2. 複数の領収証等をA4用紙に貼り付けて提出する場合には、各領収証等に通し番号を付ける。

  3. 感熱紙のコピー等不鮮明なものについては、朱書きで注記するなどして判読可能な状態にする。

録音、録画等

録音内容又は撮影内容を説明した書面を添付する(CD等に番号を付して、内容は証拠説明書に記載する)。

文献等

  1. 当該文献の該当部分だけでなく、文献の表紙と奥書もコピーして該当部分に付し、出典を明らかにする。

  2. ラインマーカーを引くなどして、必要な箇所、重要な箇所等を明示する。

  3. 外国語の文献には、必ず訳文を添付する。

証拠説明書の作成

書証の取調べの申し出をするまでに、書証のコピーと証拠説明書を裁判所用1通と相手方用の相手方の数だけ準備して、裁判所に提出します。相手方に対しては、郵送、あるいは、FAX送信でもOKとされているので、量がたくさんあるときは郵送、10~20枚程度ならFAX送信するのが通常かと思います。

証拠説明書は、キットにあるとおり、文書の標目、原本と写しの別、作成者、作成年月日、立証趣旨を記載することになっています。


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