アツアツのラーメンを食べたい!

脳性マヒの畑俊彦さんは、生まれてからこの30数年、一度もアツアツのラーメンを食べたことがない。健常な舌は口の中でラーメンを転がして自然に冷やすことをするが、脳性マヒの人たちの舌はうまく動かないのでヤケドしてしまうから、という。

「でも食べたい。アツアツのラーメンを食べているのが、クール。」NHKの番組バリバラ(2015年6月25日24時)でチャレンジを宣言。ラーメンが丼ででてきたときは78°C。温熱環境管理のプロ、大学の研究室の力をかりて、畑さんの舌がヤケドしないけど、アツアツなラーメンの温度を追求した。

お湯の中で正確に温まったアルミの板を50°Cから畑さんの舌にあてていく。次は55・・・・結果として68.1°Cが、畑さんの舌にとって、ちょうどいいアツアツラーメンであることを発見した。介護者が、どんぶりからラーメンを持ち上げてサーモグラフィーで測って、70°Cになったらフォークで巻いて口にいれて完食。(ちなみに、14秒間で78°Cから適温になるそうだ。)

畑さんのチャレンジで、「ちょうどいいアツアツがある」ことを発見し、障害とは、アツアツのラーメンを食べる、という何気ない日常の行為ができないことなんだ、気づき、「クール」の定義はポジションで全く違うことを教えられ、異種障害伝言ゲームでの必死な姿に、笑ってしまいながらも、すぐに集中と必死のスイッチがはいるのは、アーティストのスキルであると改めて思い、そして強い一体感を感じた。





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