小貫

グローバル化は、まず身体から!

ブラジルのファベーラ(スラム)、モンチアズールを拠点として30年 以上にわたりボランティア活動をしてきた小貫大輔さん(東海大学教養学部国際学科教授)からのメッセージはこんな感じだ。・・・・・『まだつくりかけだから、ゼロから自分たちでつくるのが当たり 前。「面白いからやる。」「心が開いていて、人との距離が近い。」そんなブラジルから日本人を見ると、自分で 自分を縛っているよう。もっと心を解放しよう!』 (『私があなたにTURNする7日間』3日目『「学びの場』から考える固有性と多様性』)

【まだつくりかけの国だからおもしろい】ファ ベーラに必要な順番は電気、水道、保育園。電気は比較的容易に手に入るが、水道と保育園はそのファベーラが一致団結して政府を動かすまで強く訴えかけなけ れば実現しない。水道は女性の労働を軽減し、保育園は都市にでてきた女性たちが働いている間、子どもを守り育ててくれる。貧困の再生産をしないために不可 欠な施設である。そのスラムの環境を変えられるかは、一致団結できるかが、大ききな分かれ目がある。

初めてボランティアに入ったのはモンチアズールの保育園だった。言葉が通じなくても、問題なかった。乗っかってくるし、折り紙で鶴を折るとそれを持って出て行き友達を連れて戻ってくる。折ってほしいものをこちらがわかるまで言い続ける。(そのうちに犬だとわかった。)

つくりかけの国だから、チャレンジは歓迎されるし、面白いと思う提案をしたら、やろうやろうといって実現に動く。言語もつくり中だ。ポルトガル語が、どんどん使いやすい文法になっていく。

【ゼロからはじめる国】ファベーラの魅力はゼロからみんな始めることだ。家だってゼロから自分で作る。時として簡単に流されてしまい、命を落とす場合もあるけれど。「ブラジルに来てゼロからはじめてみるという経験をしないか。」と学生たちにもいっている。

【ブラジル人の演劇好き】学童クラブでは演劇が盛ん。意識を前向きに変えていくために演劇をやる。ご近所のおじさんが出るときは、TVの超人気番組を見るのをがまんしてでもみんなで見に行く。

【日本は自分で自分を縛っている】ブラジルで日本人は振る舞いですぐ分かる。オズオズと人の前を申し分けなさそうに通り過ぎるしぐさだ。この様な人との距離感は日本では当たり前でもブラジルでは異端だ。ファベーラでは心が開いているのが普通だから。

⇒日比野さんから小貫さんに対しグローバル化という言葉をどう理解するか、という質問。

小貫さんの答えは・・・『私はまず身体のグローバル化から日本人は始めるべきだと思う。挨拶は「ハロー」しか教えられず、握手の仕方、ハグの仕方、キスの仕方を知らない。当たり前に触れ合うことがでくるようになるのがまずグローバルなのではないか。

日本にもふれあい広場、ふれあいの○○があるが、そこで本当にふれたら大変なことになってしまう。ブラジル人はとても解放的だが、日本人はそれを圧迫感と感じるひとが多いのでは。解放感と感じる人を増やしたい。』

 

【規則ってなんだ?】前の奥さんの話しをしよう。2002FIFAワールドカップの決勝、ブラジル対ドイツのとき朝から横浜国際総合競技場の回りはお祭り騒ぎ。朝から踊りまくり、ただのビールがまわってくる。入場時間!突然奥さんが「切符をみせるな!」と叫ぶ。ブラジル人は切符を容易に購入できたが、当時日本のサポーターたちの多くはチケットが買えず持っていなかった。まず、みんなで整然と並んで太鼓を鳴らしながらゲートに突入する。ガードマンたちと切符をみせろ、ともみ合いになる。切符を持っているブラジル人ともみあっている間に、切符がない日本人がその隙間からスタジアムの中にはいっていく。スタジアムをでたのは終電間近。階段が上れない奥さんを引きずり上げながら終電にのった。こんなことは自分で自分を縛っている日本人には想像できない。

 小貫さんのお話をきいていて日本は壊れかけの面白さがあると気づいた。後50年で人口が7割 ぐらいになるとの予想もある。それは今までの仕組みが崩れていくことを意味する。つくりかけの国と壊れ始める国。きっと似たような特有の距離感が生まれ てくる。人口が減ればスカスカになるという観測もあるが、一方、もっとお互いの距離を縮めるような力、心を開くような距離感が生まれると期待もできる。そ れに向かってTURNしよう!

 

 


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