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NHKおはよう日本が解説する「処理水」が意味するもの

今年は衆議院選挙の年。政局報道からは目が離せません。特にNHKニュースは視聴率は常にトップクラス、日本中で視聴できるし、NHK+では見逃し配信も可能という かなり広範囲にアピールできる大きな媒体です。研ぎ澄ました言葉で 可能な限り正確な情報発信を望みたいところです。NHKさまよろしくお願いいたします。

さて、東日本大震災、そして福島第一の原発事故から10年、各報道番組でも特集が組まれる事も多くなるのではないかと思う今年。もちろんNHKさまも早速原発問題をとりあげています。

福島第一原発 事故 増える処理水の扱いは

以下、2021年1月4日おはよう日本7時台の「福島第一原発事故 増える処理水の扱いは」のニュースの書き起こしです

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東京電力福島第一原子力発電所の事故から今年3月で10年となります。燃料デブリの取り出しなど難しい問題を抱える中、国と東京電力は廃炉とともに地元の復興にどんな道筋をつけることができるのか問われる一年となります。

福島第一原発では最大の難関とされる溶け落ちた核燃料いわゆる燃料デブリの最初の取り出しを今年2号機で始める予定でしたが新型コロナウイルスの影響でイギリスでのロボットの開発が遅れ、先月取り出しの開始が一年程度遅れる見通しを発表しました。また1号機から3号機には今も使用済み燃料プールに核燃料が残され、3号機では一昨年4月から取り出しが始まり、今年3月までに作業を終えたいとしていますが、機器のトラブルでたびたび作業が中断し、計画通りに完了するか注目されます(※1)

また廃炉に加えて焦点となっているのが福島第一原発で毎日発生し続けている放射性物質のトリチウムを含む処理水(※2)の取り扱いです。

(現場映像)(こちらが処理水のタンクになります)福島第一原発の構内に立ち並ぶ巨大なタンク。貯められているのは汚染水を処理した後に残るトリチウムなどを含む水(※3)です。

(アナ)一日140トン増え続け、東京電力は来年夏にはタンクが満杯になるとしています。国は去年10月処理水の海への放出を前提とした説明を地元に行いました。

(梶山経済産業相)「いつまでも方針を決めずに先送りはできないということでありまして丁寧な議論とのバランスをとりつつ適切なタイミングで政府として責任を持って結論を出してまいりたいと思っております」

(アナ パネルで説明)この処理水に含まれているトリチウムとは一体何か。こちらをご覧ください。H2O、水ですね。トリチウムはこのように水の一部として存在しているんです。その雨水ですとか、海水、それから水道水にも処理水に比べますとごくごくわずかなんですが含まれているという事なんです。それがゆえに水から分離して取り除くのが難しい放射性物質です。ただエネルギーは弱く、国は「濃度が基準以下なら影響はほぼない」としています。通常の原子力施設でも発生していまして、国内の他の原発や海外でも基準以下の濃度にして海などに放出しています。

そして福島第一原発の状況をまとめたのがこちらです(※4)。現在タンクは1047基あり、容量は137万トンです。現在はと言いますと124万トンがたまっていて、残り1割を切っているんです。国や東京電力は来年夏にはタンクが満杯になるため早期に処分方法を決定する必要があるとしていましたが去年11月梶山経済産業大臣は建設の要否も含め検討する必要があると述べタンク増設の可能性を示しました。こうした中で今年放出の判断があるのか関心が集まっています。

(高瀬アナ)では、取材にあたっている福島放送局の高須記者とお伝えしていきます。高須さんこの増設を検討するという発言ですけども地元ではどう受け止めていますでしょうか。

(高須記者)はい、政府がスケジュールありきで進めているのではないとう姿勢を示すための発言と見られています。背景には関係者との調整に時間がかかっていることがあります。と言いますのも福島県内では処分について反対と賛成に意見が分かれているんです。海への放出に特に強く反対しているのは漁業者です。新知町の○○さんは事故のあと試験的な操業に参加、本格操業に向けて安全性を確かめながら水揚げを増やしてきた中、風評が再燃することを懸念しています。

地元の漁業者さん「時期尚早ではないのか、早いのではないのか。まだ10年もたっていないのにトリチウムを流してしまったら今までの10年はなんだったのかとなる。やっと来年(昨年収録なので実際は「今年」)4月をめどに本格的な操業に入りましょうか言ってるのに。タンクなんて増設すればいい」

一方福島第一原発のある自治体からは保管し続けることが復興を妨げることになるという声があがっています。

双葉町町長「この取り組みとは何なんですかというと廃炉のための取り組みなんですよね。廃炉が遅れればイコール復興も遅れてしまう。さらには帰還をしようと思っている住民の人達に不安を与えるってことにもつながってますよね。それは問題の解決にはつながらないんだろうと」

(桑子アナ)放出するにせよ 保管するにせよ反対の声があるわけですね
(高須記者)そうですね。原発事故から10年となる今年 福島の漁業はようやく本格的な操業の再開をめざしているんですけれども放出によって再び悪いイメージが広がれば水をさすことになります。一方で双葉町のように住民の帰還を進めるには早期処分が必要だという声もあります。専門家はこうした状況の中で決定すると将来に禍根を残すと指摘しています。

福島大学 小山良太教授「反対や懸念に対する払拭策がないまま強行に決まるということがもしあった場合には、現地の人たちも無視した形になってしまうわけですよね。やっぱり正確な情報を伝えないと、それこそ風評になるんですよね。今、国民の側から こんな疑問があるとかこんな不安があるという問いかけが国に来ているわけですよ。まずは解答するところからスタートしたらどうかなと思いますね」

(高須記者)政府は漁協や自治体だけでなく学生など一般の県民にも説明を始めていますが理解が広がっているとは言えません。増設を検討するとしてもタンクの容量や処分までの準備期間を考えるとそう遠くない時期に処分方法を決定するとみられていますが、さらなる風評被害を招かないためにも政府には丁寧な情報発信が求められますし私たちも伝え続けていく必要があると思っています。

-----------ここまで---------------

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不思議な言い回しのことなど

このニュース ツッコミたいところは色々あるんです。例えば最初の方の

計画通りに完了するか注目されます(※1)

最近のNHKにありがちな主語のよくわからない言葉。ここは計画通りに完了するか懸念されています とか完了の予定がずれ込む可能性も出てきました、が正解ではないのかしら?と思ったりします。

または計画通りに完了するか注目されています(だれも注目してないけど)ではないのかと。まあ他にもツッコミたい部分は多々ありますが、そこはおいおいにやっていこうと思います。

今回はそこではなく、「放射性物質トリチウムを含む処理水」について言及しようと思います。

トリチウムを含む処理水?

ニュース報道は、

燃料デブリの取り出しの遅延&処理水のタンクが満杯になりつつある
 ↓
トリチウムの説明

と流れていきますが、なぜだかここで2種類の表現が出てきます
放射性物質のトリチウムを含む処理水(※2)
汚染水を処理した後に残るトリチウムなどを含む水(※3)
気になるのはトリチウム「など」を含む水の「など」の部分です。

この「など」には疑問符がつきます

そもそもこちらの「水」だか「処理水」だかは、

トリチウムだけになってる水は2割で、残り8割は、「トリチウム+ストロンチウム他の多核種で汚染された水」と、エネ庁が認めています。しかも猛毒ストロンチウムなども入っているとされています。(この件は国会でも質疑応答されていますので議事録も残っている筈です)

「NHKで使う処理水や水という言葉はおかしい。あれは汚染水だ」と言う人もいるくらいです。

もちろんNHK報道部が知らないわけはない。それをすっぽりを「ない物」として説明し、話を進める。これでは報道内容そのものに何等かの干渉があるのかと疑いたくもなります。


トリチウムなどを含む水

さて、高瀬アナがトリチウムがいかに安全かを説明した後に桑子アナが

「そして福島第一原発の状況をまとめたのがこちらです(※4)」

と画像を示します。

そこにはずらりと並ぶタンクの絵。そしてそのうちの9割に赤く色がつきます。ものすごく相手の危機感を煽る手法です。

でも。待ってくださいね。

そのタンクの中に入っているものは全部同じではないですよね。

データをクリアにしてほしい

最近の日本政府やメディアを想う時に特に感じるのが、ぼやっとした言葉の使い方や、ぼやっとした根拠による政策、そして、その影に見えるに何らかの意思を感じる情報の出し方です。結果として国も報道も全然信用できない国になりつつある。こういう国では人々は不安に覆われ心が荒みます。

原子力というものに手を出してしまったこと、そういう政府を選んでしまった責任は全日本国民にあります。そしてすべての国民が満足できる答えはどこにもないことはわかっています。それでも未来のことを考えると、私達は皆で考え我慢し合うことを選んでいかないのではないかと思います。

NHKに強く望みます。

現時点でどの位の割合でトリチウムだけの水があるのか、それの処理はどうするのか

トリチウム以外の多核種で汚染された水はどのくらいなのか、それの処理はどうするのか

特に危険な汚染水はどのくらいなのか、それの処理はどうするのか

それは分けて考えるべきことではないのでしょうか

どうか、国民に必要な情報をできるだけ正しく発信してくださるようにお願いいたします。


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