三遊亭天歌さんのこと

FRIDAYデジタルで天歌さんの記事を読んで、彼のことを知った方もいると思います。今回の問題は、法律の部分もあり、詳しくない私があまり言及は出来ませんが、私が思ったことを書きます。

黙っていることも出来たのですが、普段から落語の良さや楽しさを、はじめての方にも知って頂きたいという発信をしている身として、落語協会に所属する芸人として、何かお伝えできる事があるかもと思い、お話ししたいと思います。

大前提として、パワハラはいけないことで、無くなって欲しいと思っています。その上で書きます。

まず天歌さんについて。彼とは大学生の頃から知り合いで、他大学との落研の交流でお互いに知っていました。学生のコンクールにも一緒に出たりして、学年は向こうが先輩で、当時は本名にさんを付けて呼んでいました

彼は入門する時に少し足踏みがあって、噺家になったのは私の方が早かったです。私が前座になって二年くらいして入ってきました。最初は、元先輩なのでとてもやり辛かったのを覚えていますw本名から芸名で呼ぶまで少し時間がかかったのを覚えています。

そこからは、真面目で優しい後輩としてお互いに前座修行をしていました。彼はツッコミが上手くて、喋っているととても気持ち良いんです。僕がふざけたことを言うと、サッとツッコんでくれて、漫才をしているような気持ちにさせてくれました。

二つ目になってからは、地元宮崎で会をやったり、同じ九州出身として頼もしい後輩であります。

そんな彼が今回の告発をしました。ずっと我慢して来たものが爆発したんだと思います。

大抵の噺家は、「師匠にこんなこと言われちゃったよ」「師匠しくじっちゃったよ」なんて愚痴をこぼしながらやっていくもんですが、彼からはそういう言葉を聞いたことがありません。人の悪口も言わないそういう優しさが彼にはあります。だからこその今回の爆発だったんだと思います。

彼の身に起きたことは本当だと思うし、無くならなければならないと思います。

ただ彼の言うような暴行や恫喝が日常的に楽屋で起きているのではないかと勘違いされる方がいたらいけないので補足しますと、楽屋ではそういうことはまずありません。

暴力については私が入門して16年間、一度も目にした事がありません。恫喝についても、誰かがしくじって怒られる光景は目にしますが、それが恫喝だと感じた瞬間はありません。これはあくまで私が見て思った事なので全てではないと思いますが。

私の師匠との関係の中でもこういうことは一度もありません。怒られたことは弟子ですから何度もあります。

今回の件は師弟の中で起きたことで、そこに協会や他の芸人が介入していくという事が、なかなか難しい現状があります。だけど、組織としてはそれではいけないというのが一般常識なんだと思います。そこに天歌さんの告発が一石を投じることになるのかもしれません。

僕は天歌さんも落語協会も寄席も、そして落語家もみんな好きなので、とにかく良い方向に進んで行くことを望みます。

天歌さん、またゆっくり飲もうよ。

落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。