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落語家も読む「落語論」

落語家は落語関連の本を割と読んでいると思います。速記(落語を喋った通りに書いてる)本はもちろん、落語に関する本、例えば落語に出てくる食べ物を集めた本とか、噺の中の地名を巡る本とか、吉原関連の本とか、自伝とか。

落語家も落語の中身を勉強しなきゃ行けないんである程度知識を取り入れようとそう言った本に手を出すわけです。

個人差はありますけどね。読まない人もいるかもしれません。

私は結構色々読むのが好きで、その中でも落語家自身が書いた本が割と好きです。落語家が書く本と言えば、基本的には自伝が多いですが、中には「落語論」を書く方もいます。

今日はそんな落語論の中で、とても好きなものを三つ紹介します。落語論の本は沢山あって、正直選ぶのがかなり大変でしたが、基準を設けたとすれば、ふと「あれ?なんだっけ?」と思い返しては手に取っちゃう、いわゆるバイブル化しているものに限定しました。

第三位 『権太楼の大落語論』柳家権太楼

権太楼師匠の本は実体験に基づいて書いてあるので非常に説得力があります。方程式にのような落語論ではなく、全部具体的なんで読んでいてすぐに実践出来るものが多いです。稽古の仕方とか噺に対する向き合い方とか、とにかく分かりやすいです。

成功した人の話ってとても参考になるんですが、ほとんどはこうしたらこうなるってとこまで書いてないんですが、権太楼師匠のはきちんとそこが言及されていて、僕はかなり参考にしています。

僕は結構迷った時にこの本を取り出して読んでます。

もっと後になって書いた師匠の自伝も面白いです。

第二位 『創作落語論』五代目柳家つばめ

権太楼師匠が最初に師事した師匠です。若くしてお亡くなりになった方で、著作も多いです。僕はこの本を読んだ時にかなり驚きました。

今読んでも全く色褪せない新しさがあったからです。書かれたのが1972年となっていますが、今読んでも当てはまる部分が多くて本当に凄いです。

創作落語論というくらいなんで、新作落語派から見つめた「落語」というものがこれでもかと書いてあります。

三位、二位が師弟の本になっちゃいましたが、これはあくまで僕が読んでいる本なんで悪しからず。

第一位『現代落語論』立川談志

言わずと知れた、落語論の傑作です。1965年談志師匠が29か30くらいの時に書かれた本です。

それまで落語評論家が書いた落語の本はあっても落語家が書いた落語論は無かった。これはその走りだと言われています。

しかも書いた時の年齢を考えると、いかに若い頃から談志師匠が落語について、理論として確立していたのかがよく分かります。「伝統を現代に」という言葉はあまりにも有名ですが、落語をとにかく現代に合わせていかないと、終わっちゃうよと憂慮した本です。

この20年後に「その2」を書かれていますが、落語をこんなに理論化しているというのがやっぱり凄いです。

談志師匠が理論で、権太楼師匠が実践だと思っています。

もちろんかなり前の本なので、今とは違っていることもありますが、30歳でここまで落語を体系化出来ているのに少し悔しいくらい驚きます。

この本は年に一回くらい必ず読みます。

まだまだ取り上げたい本はありますが今日はこの辺で。

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