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鈴本演芸場 主任興行を終えて

五月下席鈴本演芸場夜の部のトリの興行が終わりました。昨年の二月下席以来の二度目のトリでした。長いようであっという間の九日間で、今回は「季節(とき)知らず」と銘打って、季節関係なくネタを出しました。

このチャンスをくださいましたお席亭には本当に感謝でございます。

この五月に入ってから、ずっとこのトリのことで頭がいっぱいで、ネタをさらいつつ、DMを書いたり、自分に出来ることは精一杯やろうと務めました。

まだまだ集客の面含めて未熟なところもありますが、とにかくお越しになったお客様には満足していただけるよう日々渾身の高座をお届けするように心掛けました。

数回お越しになったお客様や、幕見を利用して入ってくださったお客様もいて本当にありがたい限りでございます。

一席一席に色々と思いはありますが、まずは二ツ目時代に研鑽したネタを寄席の主任でかけられたことがいちばんの喜びだと思います。「いつか寄席でやるんだ」と思いながらも、この真打戦国時代に生き残りながら、あの稽古したネタたちを寄席のトリで出来なかったらどうしようかと思っていたので、去年のトリと今回のトリでまずはそれが達成出来て良かったです。

その中で次のステージに行く努力も必要で、そのネタをもっとたくさんの方に聴いてもらえるようにしなければいけないと、改めて思いました。

ご常連のお客様からも「良い高座やってんだけどね。もっと沢山の人に聴いてもらいたいね」と言われて、そこに関しては出来ることをまだまだあります。

いちばんは芸で、そこはブレずに、「行ってみよう」「また行きたい」と思ってもらえるお客様を一人でも増やす努力をさらにしていかなければと思います。

それとこれは九日間やって変わった感覚ですが。

初めの方は「良い高座をやろう」と思っていたのが、だんだん「良い気持ちで帰ってもらおう」と似ているようで少し違う思いで高座を務めるようになっていました。

「良い高座」はちょっと自分よがりだったと考えるようになって、お客様にはあまり関係ないしそもそも良い高座かどうかはお客様が決めることなんで、最初からそこを目指すのは違うのかなあと思うようになりました。

「良い気持ちで帰ってもらおう」と思うようになって、お客様と一緒に落語を作って行く感覚になりました。

当たり前なことかもしれませんが、そういうことに気がつかせてくれた主任興行でした。

またいつどこでお呼びがかかっても良いようにさらに腕を磨いて行きます。

お越しになったお客様、本当にありがとうございました。

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