徒歩旅「家に帰ろう」

学生時代や新入社員の頃に、飲み会後に終電を逃し、タクシーに乗れるほどお金に余裕があるわけでもないので、繁華街から家まで歩いて帰った、そんな経験がある方は多いのではないでしょうか。

今回は歩いて帰って来ることをコンセプトに掲げた長距離歩きとなります。
普段であれば歩いて行って電車で帰ってくるので、いわばロッククライミング形式(登りがメイン)が多いですが、今回は電車で行ってから歩いて帰って来るので、スノボ形式(リフトで登って滑って戻る)ということになります。

ルールはGoogleマップ使用禁止であることは前回の大垣の時と同じですが、最短ルートを探ることを重要視しているので、大まかな経由地だけ設定しています。また寄り道をあまりせず家に帰ることも意識して、ざっくりですが時間の制限も設けております。

目的「日が変わるまでに歩いて家に帰る」

タスク
1.岐阜県を出るまで昼食禁止
2.各務原を経由する
3.江南を経由する
4.日暮れまでに名古屋へ入る


①岐阜県美濃市へ

5:30   金山駅

早朝5時半に自宅最寄りの金山駅へ。ここからJRを乗り継いで岐阜県の美濃市へ向かいます。どうしてスタート地点に美濃市を選んだのかと言うと、名古屋から50km前後の距離の町の中で、風情ある田舎が良かったからというだけの理由です。

美濃太田駅

JR中央本線、太多線を乗り継ぎ、美濃太田駅からは長良川鉄道というローカル線に乗って美濃市に向かいます。内装が観光列車風にアレンジしてあるので、鉄道旅が好きな方は楽しめるのではないかと思います。

7:40   美濃市駅

7時半過ぎに美濃市駅に到着です。雰囲気ある駅舎を眺めてから少し美濃の町を散策してみようと思います。

名鉄美濃駅舎跡

昔は岐阜市の柳ヶ瀬から美濃市まで名鉄が走っていたそうですが、車社会の波で20数年前に廃線になってしまったそうです。明治から平成までの約100年の名残が今でも残っている美濃駅舎は見学もできます。

さて、30分ほど美濃を散策したので帰ります。
とりあえずここまで乗って来た電車の線路に沿って南の方向を目指します。道路標識看板を探しながら歩くことが今回も重要になってきます。

②岐阜県を出るまで昼食禁止

夜にきちんと帰宅することを踏まえて、岐阜でモタモタしない為に愛知県に入るまでは昼食を禁止します。スムーズに行けば正午ぐらいには愛知県に入れそうですが、迷ったりサボったりしていると昼食が夕食に変わってしまうので気を付けなければなりません。

岐阜県の地理をイマイチ分かっていませんが、とにかく岐阜市方面へ向かっていけば間違いはないだろうという安易な考えで、標識を辿りながら歩いていきます。

岐阜県関市に入ると同時に標識に名古屋の文字も見えました。余談ですが美濃市は和紙、関市は刀が有名で、特に関の刀鍛冶の名所は一度ゆっくり観光に行きたいところですが、今回は関の市街地にも入らず国道から完全に素通りです。

名古屋まで49kmという案内が見えました。意外と近いなと感じながら静かな田園地域をのんびり歩きます。写真では分かりずらいのですが、この日は付近の看板や自転車が散乱するほど風が強く、踏ん張って歩かなければ転びそうになるほどの強風でした。更に花粉がひどく、ここから名古屋までの10時間以上、花粉に苦しめられ続けることになります。

これは非常に大事な道路標識です。愛知県の地理を分かっていなければ名古屋をめがけて右に進んでしまうところでしたが、最短ルートは江南方面になります。右は岐阜市内を通って名古屋へ向かうルートになるので、車であれば大した距離ではなくても徒歩なら大変な遠回りです。騙されずに江南方面へ向かっていきます。

県道17号線を進むといよいよ峠道です。大体の場合は峠で市境となることが多いので、恐らくこの峠を越えると関市は終わりでしょう。

峠道の怖いところは、途中で歩道がなくなるケースがよくあるということです。そうなると路側帯の内側を歩かざるを得ないのですが、こういう峠道では路側帯が狭いので車が来るとかなり怖いです。車側からしても相当邪魔だと思います。この橋を越えた辺りから歩道がなくなったので、脇道に逸れて歩くことにします。

県道から逸れてしまいました。県道が並行していることは近くの車の音で分かるので、とりあえず信じて脇道を進んでいきます。

脇道どころではなくなりました。
獣道の枯れ木をかき分けながら、蔓でつまずいてコケそうになりながら、今となっては県道の車道を目指して進むことになりました。
昔の話ですが、山口県の夜の峠を越えよう歩いていた際に、ガードレールに気付かず崖から転げ落ちて運よく命拾いしたことがあります。これだから峠は面白いです。

なんとか県道に戻り、しばらく進むと峠で各務原市に入ります。各務原市を越えれば岐阜県は終わり、木曽川から愛知県に入ることができるので、もう脇道に逸れたりせずに素直に県道を進んで行きます。

峠道は終わり、各務原の町中へ向かって進んでいきます。時刻は11時を回り、そろそろお腹が空いてくる頃ですが、各務原を抜けるまで飯はナシです。愛知県を求めて、飯を求めて足も早歩きになってきます。

菜の花畑に囲まれてのどかな風景だと感じていただけるでしょうか。写真だけで見るとのどかな風景ですが、近くに航空自衛隊の基地があるので、航空機の飛ぶ音が響き渡っています。現地はのどかさからはほど遠いです。

愛岐大橋
木曽川

各務原を南北に縦断すること2時間、ようやく愛岐大橋から岐阜を抜けます。前回と続けて2回連続で愛知と岐阜の県越えをやっていますが、県境が広大な木曽川になるので、愛知・岐阜間を跨ぐ際は濃尾大橋も愛岐大橋も600m以上の大型橋梁を渡ることになります。

12:30、正午を少し過ぎましたが愛知県へ戻りました。市越えも県越えも歩き旅の醍醐味となり、特に県越え直後は基本的にテンションが高いです。1人でニコニコしていると通りすがりの外国人夫婦に指を指されて笑われました。

③江南、岩倉を縦断

愛知県に入ってので昼食をとることが許されます。この辺りは仕事で何度も来たことがあるので、くら寿司や松屋、マクドナルドなど飲食店が多いことは知っています。ただどうせなら歩いて気になった店に入りたいので、とりあえず進みつつ店を探しながら歩きます。何もなければ必然的に松屋かマクドになります。

すいとぴあ江南

江南や一宮にいると遠くに見えるタワーはすいとぴあ江南かツインアーチのどちらかでしょう。展望に登ったことはないので、一度登って濃尾平野を眺めてみるのも良いなと今までに何度も思ってきましたが、昼飯のことで頭がいっぱいなので今回も登らず素通りです。

名古屋江南線に入ったので、もはや何も考えずに真っ直ぐ歩けば名古屋へ着きます。

ツルシ 江南店

インドカレーの店の前を通りかかると無性にカレーが食べたくなったので昼食はインドカレーになりました。自分はカレーは好きですが、ご飯が濡れることが嫌いなのでカレーライスは進んで食べません。そういう意味でもインドカレーは好きなのですが、この店のカレーとナンはまろやかで美味しく、インド人のシェフも笑顔が優しい良い人でしたので、江南へ来る時はまた来ようと思います。

江南市街

昼食後、江南市街を抜けていきます。

江南市の中心部である江南駅周辺は名鉄特急も停車するためかなり栄えています。

江南市は以前の仕事で大変お世話になった町です。最近転職して名古屋市内から出ることもほとんどなくなったので、江南市での出来事を色々と思い出して感慨深くなります。

布袋大仏の近くを横切りながら江南を抜け、15時半には岩倉へ、更に16時過ぎには北名古屋まで戻ってきました。このあたりは延々と県道を真っ直ぐ歩くだけなので流れるように過ぎていきます。そんなに広くない市だからというのもあって、電車や車で通過する時も「ん? 岩倉と北名古屋ってもう過ぎた?」と思うぐらい流れるように過ぎていきますが、歩きであっても「ん? もう過ぎた?」って思うぐらいなので相当やなと思います。

名古屋まで10kmを切りました。道路標識の「名古屋 9km」の上のワードにウズウズしてきますが、花粉の辛さがもう限界なので早く帰りたい気持ちになっています。

④日暮れ前に名古屋市へ

17時には名古屋市まで戻ってきました。

江南市の木曽川から本当に延々真っ直ぐ歩くだけだったので、何があったかの記憶があまりありません。ずっと音楽を聴きながら歩いていただけだったので、MÅNESKINのアルバムとEPを4枚聴き通してしまいました。

上小田井

県道63号線と城北線、名鉄犬山線、地下鉄鶴舞線が立体交差する場所です。なんかプラレールみたいですね。

そしてここでスマホのバッテリーが切れました。モバイルバッテリーに差しながら歩いていたのですが、ケーブルが断線していたみたいで充電が減り続け、この写真を撮った瞬間にバッテリーが息絶えました。ウォーキングアプリの徒歩記録も一旦ここで切れてしまっています。

庄内川橋

庄内川を渡って名古屋の中心部へ入っていきます。向こうに名駅のJRセントラルタワーズが見えます。

スマホの充電ケーブルを買いたいのでコンビニを目指していたのですが、充電が切れた上小田井から庄内通のファミリーマートまで2.6kmほどコンビニがありませんでした。市街地で交通量も多い幹線道路で、尚且つ下には地下鉄も走っているような通りでこんなにコンビニがないというのもいかがなものかと思います。

庄内通で日が暮れたので、とにかく日暮れまでに名古屋へ帰ってくることはクリアできました。

⑤家に帰ろう

辺りは暗くなり、夜の浄心、浅間町を歩き中心街へ向かいます。夜は寒さと速度感がおかしくなり、早歩きになりがちなので疲れやすくなるので、日暮れ後の歩きはなるべく避けた方がいいのはその為です。連日で歩いていた20代前半の頃は深夜まで歩いていましたが、今思えばアホやと思います。

丸の内一丁目

以前の職場の近くです。この辺は名古屋のビジネス街に当たりますが、毎日この辺を歩き回っていたのでホーム感があります。飲み終わりにここから自宅まで歩いて帰ったことは何度もあります。

日銀前交差点

毎日通っていた頃はここの景色が好きでよく眺めていました。真正面に見えるタワーは庄内川からも見えていた名駅のJRセントラルタワーズです。

伏見駅

伏見駅のセブンイレブンでコーヒーを買って完全にリラックスモードです。仕事終わりに自宅の最寄り駅の近くのコンビニや、車で帰宅途中のコンビニへ寄ってコーヒー買ったりしませんか? 気持ちはそういうことです。

栄一丁目

加藤高明総理って名古屋の出身やったんやと初めて知りました。歩いていなければ見落としているような場所です。

大須観音

大須観音の隣を通り、自宅のある金山へ向かいます。目標を自宅のある名古屋にしているため、終盤ぐらいから住んでる街の紹介コーナーみたいになってしまっています。

金山駅北口

20時半に金山駅へ帰ってきました。

美濃市駅を出発しておよそ帰宅まで13時間。ちなみにここへ着く直前に金山イオンで夕飯の買い物をしています。今回は帰宅がコンセプトですので、日常的な買い物も旅の一つに含めても良いかと思ったからです。

⑥最後に

徒歩記録
行程

前述の通り、上小田井でスマホのバッテリーが切れたので記録を2つに分けており、画像が見にくくて申し訳ございませんが、美濃市〜上小田井41.65km + 上小田井〜庄内通のファミマ2.6km + 庄内通〜金山8.02kmで合計52.27kmの歩行距離で終わりました。

最近では50kmを越えることが普通になってきており、力がついてきているのかもしれないと考えると良い傾向かと思います。

上手く最短コースで帰って来れましたが、それでも50kmを越えているということは、前半で間違えて岐阜市を回っていたり、迷ったり遠回りしていると更に長くなっていたということです。

今回は帰宅がコンセプトでしたが、美濃市に一体何しに行ったんやというぐらい現地で遊んでいません。美濃市や関市はまた別日に観光として再び訪れようかと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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