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より良い人生、を見つけに行こう

巧みな脚本で視聴者を熱狂させ、各所で大絶賛が起こっている『ブラッシュアップライフ』。タイムリープ作品の新たな引き出しを見出した本作の魅力に迫る!

人生やり直しの旅、進む旅路は…?

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実家で家族と暮らしながら地元の市役所で働く近藤麻美(安藤サクラ)。日中は窓口業務で市民からの理不尽なクレームにストレスを溜め、夜や休日は幼馴染の夏希(夏帆)と美穂(木南晴夏)の3人組でご飯やカラオケに行き、噂話や世間話で盛り上がる、そんな平凡で等身大な日常がずっと続くと思っていた…。
いつもの様に3人組で過ごしたある夜、麻美はトラックにはねられ、あっけなく死んでしまう。突然の出来事に困惑する麻美は死後の世界で案内人(バカリズム)から「来世」を案内されるが、それは人間ではなく!?人間として生まれ変わるには「再び近藤麻美として同じ人生をやり直し、徳を積む必要がある」と告げられた麻美は人生2周目に突入する。1周目の記憶とやり直しの旅で身に付けた知識を活かして徳を積み、更にブラッシュアップした人間へと生まれ変わることはできるのか!?人生をやり直す度に変わる職業の描写の細かさにも注目!

軽快かつ巧妙な小ネタと伏線回収の応酬

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いわゆる「タイムリープもの」の作品設定を存分に活かした小ネタと伏線回収の数々が視聴者を熱狂させた理由の一つだ。もはやレミオロメンご本人たちの歌唱シーンよりも観たのではないかと思うほどの「加藤の粉雪」を筆頭に、黒木華・水川あさみの「浮気発覚ブチ切れテレフォン」、麻美と付き合うことで年商が減っていた事が判明する青年実業家、ちょい役で出演する大物役者さん達、等々の小ネタに常時笑い、お父さんのへそくりやポケベルといった軽い伏線から、職場の後輩が着ているパーカーに書かれている文字、「謎の女」という物語の根幹を担っていた重厚な伏線まで、物語が進んでいく中で華麗に回収されていく伏線に爽快感を味わえる。物語が積み重なっていく事で楽しみが増え、何度も観返す事で新たな発見が出来る、連続ドラマの楽しさが詰め込まれた作品だ。

解像度の高いノスタルジー

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物語の根幹である「友」とのエピソードの描き方で感じられるリアリティとノスタルジーは歴代のドラマの中でもトップクラスだ。旧友の噂話や何の意味もない世間話といった、解像度の高いキャラクター達の会話内容、シール帳やプロフィール帳、ゲームボーイアドバンスや往年の名ドラマ、劇中歌として使われている懐メロの数々。
「昔確かにこんな事に熱狂してたな~」という視聴者本人の記憶を呼び起こすノスタルジーと共に、徳を積むために友人付き合いを制限し勉学に時間を捧げた事で親友との距離が出来てしまった描写を入れ、「あの親友達と楽しそうに過ごしていた人生1周目が遠い昔のようで、あの日々のシーンを思い出して泣いてしまう」というキャラクターへの思い出を基にしたノスタルジーへと変化するグラデーションは特に圧巻。まるで自分がカメラの横で、彼女たちと同じ時間を過ごしているかのように感じられる秀逸な作りに視聴者は魅了される。

「ブラッシュアップライフ」

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ついに人間として生まれ変われるチャンスを手にした麻美だったが、そんな待ち望んだ希望の来世を投げうって、友人が搭乗した航空機の事故を阻止するため、最後の人生やり直しを選択する。何度も人生をやり直した麻美が最後に選んだ「ブラッシュアップした人生」は、人生1周目で出会った大好きな人たちと、大好きな地元で、何でもない日常を、笑顔が絶えない瞬間を、いつまでも過ごしていく事だった。大勢の命を救ったり、億万長者になったり。徳を積むという事の大切さ以上に、今の日常をさらに大切に過ごしていこう、そう伝えてくれる素敵な物語。

大切な時間を一緒に過ごしてくれる大好きな人たちに改めて感謝をしないとな。あの頃仲良かったあの子は元気かな、今度連絡を取ってみようかな。たまには実家に顔を出して親孝行をしないとな。

さあ、人生1周目。ブラッシュアップしてみようか。

Text/せっきー

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せっきープロフィール
Twitterドラマ実況者。年代ジャンル問わずドラマをチェックし、タイムリーかつ共感度の高いツイートが人気を博している。最近ではフォロワーと開催するスペース「ドラマ正解は一年後」「坂元裕二作品について語る会」なども好評。Twitter: @KO6IoFJdp7pjTab

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