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「花束」を懐抱するすべての人たちへ

2021年に公開され「自分の恋愛と重ねてしまった」等々、そのリアルな描写で話題を呼んだ大ヒット作『花束みたいな恋をした』。多くの人の心を掴んだその魅力に迫る。

運命的な出会いから始まる5年間の恋の物語

東京・明大駅前で終電を逃したことから偶然出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。音楽、作家、映画、好みが驚くほどに合う相手との偶然の出会い、それは運命の恋へと変わっていく。
『最高の離婚』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』等、数々の話題作を生んできた坂元裕二氏脚本、20代の長く短い5年間を、眩いほどの煌めきと胸を締め付ける切なさを真正面から描く恋の物語。「これはきっと、私たちの物語」という本作のキャッチコピーの通り、あなたをあの時の忘れられない恋の思い出に連れて行ってくれるだろう。

二人を結ぶ共通点と浮き彫りになる相違点

偶然出会った二人を恋へと一直線に走らせたのは、彼らの「共通点」だった。カルチャーの好みから映画の半券の使い方、じゃんけんのルールへの不満、話せば話すほど共通点が見つかる。あっという間に恋に落ちる二人。幸せな日常が、運命の恋が果て無く続いていく、そうなると思っていた。
起承転結が綺麗に描かれている本作、「承」から「転」にかけて、徐々に二人の「相違点」が現れてくる。人生観・恋愛観・価値観、近づいた二人だからこそ、恋人=1人の人間同士だからこそ、「共通点」以外に目を向けなければいけない。恋の酸いも甘いも痛いほど味わった二人が選ぶ道とは。

「花束みたいな恋」を「した」というタイトルが表すものとは

「花束みたいな恋」という比喩表現を用いた本作のタイトル、その意味とは何なのだろうか。「花」という美しいもの、華やかなもの、心を安らげてくれるもの、いずれ枯れゆく儚いもの、その様な捉え方もあるだろう。では「花束」とは。
作中、あるタイミングで「~花の名前を教えてもらうと~」という絹のセリフが出てくる。二人の5年間はこのセリフに帰結するのではないだろうか。一つ一つの思い出や記憶が彼らの中で1本ずつの「花」となり、それら沢山の花が集まり「花束」となっている。二人の中に「花束みたいな恋」が確かに存在し、残り続けている。ふとしたタイミングで「花」を思い出す。
あなたの中の「花」を「花束みたいな恋」を思い出しながら、「私たちの物語」に思いを馳せながら、本作をご覧いただきたい。

Text/せっきー

▼『花束みたいな恋をした』はこちらから

せっきープロフィール
Twitterドラマ実況者。年代ジャンル問わずドラマをチェックし、タイムリーかつ共感度の高いツイートが人気を博している。最近ではフォロワーと開催するスペース「ドラマ正解は一年後」「坂元裕二作品について語る会」なども好評。Twitter: @KO6IoFJdp7pjTab

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