韓国発!新感覚の”バディもの”に胸アツ
古今東西、熱狂的な人気を呼んでいるのが“バディもの”。今年4月、韓国から新たな“バディもの”が日本に上陸した。旧来の作品とはひと味違う本作の魅力をお伝えしたい。
“バッド”な男と“クレイジー”な男が手を組んだ!
“バディもの”、いいですよね。反目し合う者同士が様々な困難を乗り越え、やがて唯一無二のパートナーとなる。そのドラマに、その絆に、これまで何度となく胸を熱くさせられてきましたが、この『バッド・アンド・クレイジー』もそうした“バディもの”のひとつ。タッグを組むのは警察官という身でありながら出世のためなら多少の不正も厭わない“バッド”な野心家、リュ・スヨル(イ・ドンウク)と、スヨルが悪事に手を染めようとするたびに突如現れ正義の鉄拳を加える“クレイジー”なヒーロー、K(ウィ・ハジュン)です。
はたしてKは何者なのか? どうしてスヨルに執着するのか? まっさらな気持ちで観ていただきたいので、その詳細はここでは明かしません。でもKの正体がわかったとき、旧来の作品とはひと味違う“バディもの”という意味がわかっていただけるはず!
セクシーなイ・ドンウク&ラブリーなウィ・ハジュン
バディもの”は、メイン2人のキャラクターが大きな柱。本作ももちろんそうです。前半のスヨルはとにかくズルいやつ。態度は横柄。でも権力に弱く、相手が大物ならあっさり掌返し。公私共にクズ刑事です。それをイ・ドンウクが抜け感たっぷりに演じるので、なんとも憎めない滑稽さが。ちょっとウェーブのかかった前髪が色気たっぷり。落ちくぼんだ瞼が翳りを演出していて、軽薄なスヨルに独特の陰影を生んでいます。
そしてKはとにかく無邪気で猟奇的。笑うと大きく広がる唇がトレードマークです。その笑顔にゾクゾクさせられるのですが、スヨルの元恋人・ヒギョム(ハン・ジウン)に恋してからのKはラブリー全開。狂気と愛嬌をウィ・ハジュンが見事なバランスで表現しています。
そんな2人が見せるコンビネーション。面白くないわけがありません。
二転三転するストーリーに釘付け!
サスペンスとしての面白さも抜群です。始まりは、とあるシングルマザーの失踪事件でした。そこに人気政治家の知られざる裏の顔が加わり、事態はますます複雑に。さらにその事件が解決したかと思いきや、今度はヒギョムが乗った護送車が襲撃され、ヒギョム以外、刑事も容疑者も皆殺しにされるという、とんでもない事件が発生。裏で糸を引いていた疑いをかけられたヒギョムの無実を証明するため、スヨルとKは奔走します。そして、それらの事件の先にはさらなる凶悪犯の存在が…。
1話が終わるたびに二転三転するストーリーに釘付け。次々と事件が連鎖し、謎が深まる緻密なシナリオにもう夢中です。
制作は、『愛の不時着』のスタジオドラゴン。今日の韓ドラブームの発火点が手がけているわけですから、病みつきになるのも無理はない話です。
ギョンテ役のチャ・ハギョンを推したい!
最後に個人的な推しポイントについて語らせてください。それが、心優しい若手警官、オ・ギョンテ(チャ・ハギョン)です。そもそも彼が行方不明の母親を探す一枚の張り紙を見つけたところから物語は動き出します。母の帰りを待つ子どものために、傷だらけになろうと正義を貫く勇姿にいつしか目を奪われるように。「お願い! ギョンテだけは殺さないで!」と神様に祈るようになったら、もうそれは沼の入り口。素朴なギョンテのはにかみに胸ときめく体になっていました。
ギョンテ役のギョンテ役のチャ・ハギョン(VIXXエン)はボーイズグループのリーダー。「VIXX」で検索したら、バキバキに踊る動画が山ほど出てきて、ギャップに寿命が縮まりました。本編中盤からタッグを組むヤン・ジェソン(チャ・シウ)とのバディ感もキュートなので、ぜひこちらの“サブバディ”にもご注目を!
Text/横川明良
横川良明(よこがわ・よしあき)
1983年生まれ。大阪府出身。ドラマ・演劇・映画を中心にインタビューやコラムなどを手がける。著書に、『役者たちの現在地』(KADOKAWA)、『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』(サンマーク出版)がある。Twitter:@fudge_2002