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ハイスクールコメディの新たな傑作

ずっと勉強漬けだった高校生二人が一晩で青春を取り戻す!新時代の幕開けを感じさせる傑作青春コメディ『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

まさに新時代!勉強熱心な「意識高い系」のハイスクールコメディ

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高校生活の全てを勉強に打ち込み名門大学への進学が決まったモリーとエイミーは卒業式前日にいつもチャラチャラしている同級生たちも名門大学に進学すると知ってショックを受けます。私たちの青春はなんだったのか…こうなったら今夜のパーティーに参加して失われた青春を一晩で取り返してやる!と奔走するコメディ映画です。booksmartは「ガリ勉」という意味のスラング。ハイスクールコメディといえば体育会系や文系といった様々なタイプの生徒たちが時にぶつかったり理解したりして成長するジャンルですが、この映画の主人公は勉強熱心ないわゆる"意識高い系"。環境問題、ジェンダー、フェミニズムなどに真剣に取り組む二人が同級生たちとのパーティーを通して様々なことを学ぶという今の時代を感じる青春映画となっています。

フレッシュな若手俳優たちと「新人監督」オリビア・ワイルド

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エイミー役のケイトリン・デヴァーとモリー役のビーニー・フェルドスタインは唯一無二の親友という雰囲気を出すために数週間同棲したという気合の入りよう。ビーニーは同じく俳優のジョナ・ヒルの実妹でもあります。さらにモテ男ニック役のメイソン・グッディングはキューバ・グッディング・ジュニアの息子、さらにパリピな同級生ジジ役のビリー・ロードはあのキャリー・フィッシャーの娘です。そんな二世俳優たちに加えて注目の若手俳優や俳優ではないプロスケーターなどフレッシュかつ多様な人種構成でわちゃわちゃとしたリアルなハイスクールの雰囲気を作り出しています。これらをまとめあげたのが俳優業でも大活躍しているオリビア・ワイルド。「自分の見たい映画を作りたい」とこの映画で監督デビューを飾りましたが見事な手腕で今後も楽しみです。

主人公二人の心構えを示すカルチャーアイコンの数々

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主人公が二人ともフェミニストであり、女性の歴史について詳しいことから彼女たちの主義や主張を示す実在の女性の名前や言葉が多く登場します。例えば法律の道を目指すモリーの部屋にはアメリカのカリスマ的な最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグや活動家として活躍するミシェル・オバマの写真が飾られています。エイミーの部屋には「My Body, My Choice」といったフェミニズム的なメッセージのポスターが貼られています。二人の秘密の合言葉「マララ」はご存じノーベル平和賞を最年少で受賞したマララ・ユスフザイさんからです。このように彼女たちが意識を高く持ち様々な社会活動に足を踏み出せるのはあなたたちのような勇気ある女性たちのおかげだ、というリスペクトが強く込められているように感じます。

Z世代のための普遍的な青春物語

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モリーは史上最年少の最高裁判事を目指す勉強家で、エイミーはレズビアンであることをカミングアウトしている活動家志望の学生です。自分のような上の世代から見るととても賢くて進んでいる感じがしますが、そんな彼女たちでさえも悩みを抱えており、同級生とは折り合いが悪いことがわかります。オリビア・ワイルド監督は「冒険することの楽しさ」「共感することの大切さ」「他人の複雑さ」「友情の大切さ」を示したかったと発言しています。新しい世代には新しい価値観があり、それによる悩みもありますが、いつの時代も変わらない普遍的な価値観もあります。この映画は新世代の子どもたちに意識が高いこともパリピであることも否定せず、学生時代というモラトリアムの時期に視野を広げることの大切さを示しているのが本当に素晴らしいと思います。

Text/ビニールタッキー

ビニールタッキー プロフィール

映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」管理人。海外の映画が日本で公開される際のおもしろい宣伝を勝手に賞賛するイベント「この映画宣伝がすごい!」を開催。Twitter:@vinyl_tackey