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8シーズンも続く大人気シリーズの魅力

2月より最新のシーズン8後半がHuluプレミアとして独占配信開始した『ウェントワース女子刑務所』。2013年から続くこのシリーズの魅力はどこにあるのかを紐解く。

人気ジャンルは時代と国をめぐる

ウェントワース女子刑務所 メイン写真_copy

オーストラリアで製作されている本作は、じつは同国で放映開始前からおなじみの作品。というのも、79~86年にオーストラリアで大人気を博した『Prisoner: Cell Block H』というドラマがオリジナルとなっているから。往年のドラマリメイクということでシーズン1から話題を呼び、一気に大ブレイクした。その後、イギリスや日本をはじめ、158カ国以上で放映・配信され、ニュージーランドやベルギー、トルコなどでは、本作のリメイク版が数シーズンずつ製作されたほど。刑務所を舞台に、囚人たちや看守などの人間関係を描いたドラマや映画は数多あり、どんな国でも人気ジャンルとされているが、『ウェントワース女子刑務所』はその中でも特段メジャーな作品といえる。

犯罪と無縁の主婦が、ある日突然塀の中に!?

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8シーズンもの長いシリーズとなると視聴開始に及び腰……なんて未見の人は多いだろう。だが、本作のシーズン1を観たら一発でハマる。なぜなら「主婦がいきなり囚人になる」という衝撃の出だしだから。シーズン1の主人公・ビーは、ギャングや麻薬の売人ではなく、DV夫にキレて彼を殺そうとしたことで逮捕~刑務所に収監。悪いことは日常茶飯事の異世界に入ってしまったビーが、囚人たちとの交流を経て、どんどんとタフな女性に成長していくさまを描いている。各シーズンの詳細は観てからのお楽しみ……だが、最新作のシーズン8冒頭の見どころを。かつてのボス囚人キャラがトランスジェンダーの恋人を連れてカムバックして刑務所内のパワーバランスが崩れるところから始まる。第1話からして緊張感爆アゲ間違いなし。

刑務所が舞台の作品、最大の魅力は密室劇

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刑務所舞台の作品は、観る側も作る側にも魅力がある。まずは制作側の魅力。回想劇以外のメインパートとなる刑務所の密室劇だと、セットや衣装が同じでOK。これによって製作コストはグッと抑えられ、長く続けられる利点がある。そして観る側。ワンシチュエーションなので、濃密な人間ドラマを集中して味わえる点が最大の魅力だ。各エピソードで事件が起きるものの、それはキャラクターを掘り下げるため。通常の長寿シリーズだと、シーズンを追うごとに人物相関がどえらいことになるが、順を追って観ることで、どんな多くの人物が登場しても感情移入ができるのだ。また毎シーズン、ボスとなる囚人が台頭し抗争が勃発するのがお約束のパターンではあるが、そこにいきつくまでは毎回予測不能で、お気に入りの人物をつい追っかけてしまう。

脱獄、女性囚人など、ムショ関連作もあわせて

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本作をノンストップで楽しみ、眠れぬ夜を過ごすのも最高……だが、そこまで人間の集中力はキープできないもの。そこで、本作に関連するジャンル作品もあわせて鑑賞し、本作との違いを味わってもらいたい。まず紹介したいのは『ロック・アップ/スペイン 女子刑務所』(Huluプレミア)。恋にうぶな女性が、恋人である勤務先上司の指示どおりに動いたことで、詐欺や資金洗浄の重罪で懲役となる物語。ちょっと『ウェントワース~』に似ているようだが、囚人同士の抗争がよりエグい。また日本にもこのジャンルの名作があり、『女囚701号さそり』シリーズもチェックしてもらいたい。梶芽衣子主演による70年代の大ヒット4部作。戦後日本のカオスが香る、今では不可能なバイオレンス表現がてんこ盛りだ。

Text/よしひろまさみち

よしひろまさみち プロフィール

映画ライター。音楽誌、情報誌、女性誌の編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』のカルチャーページ編集・執筆のほか、雑誌、Webでのインタビュー&レビュー連載多数。日本テレビ系『スッキリ』での月一映画紹介のほか、テレビ、ラジオ、イベントにも出演。Twitter:@hannysroom

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