見出し画像

全世界に影響を与えた『攻殻機動隊』

原作コミックだけにとどまらず、アニメや映画などにおいていまだ多大な影響を与え続ける『攻殻機動隊』。なにがそんなにすごいのだろうか?

【GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊】クリエイターが称賛 押井守監督が決定づけたヴィジュアルイメージ

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊_copy②

士郎正宗氏による原作コミックの映像化にあたって、監督を務めたのは『機動警察パトレイバー』などのアニメでアニメファン以外からも注目されるクリエイターになっていた押井守氏でした。

謡曲的なイメージのBGM、義体化(サイボーグ化)された人間の質感や動作、うなじあたりにあるプラグ差し込み口、デジタルな世界を表すときの緑色のイメージ、近未来SF世界でのアクションシーンや武器のディテール。音と動きが表現できるアニメーションならではの表現は、2021年現在に観ても古びません。『マトリックス』を監督したウォシャウスキー姉妹も影響を受けたことを公言するほど圧倒的な作品です。

冒頭、タイトルが出るまでの、主人公 草薙素子の「義体」が作られていく過程を観てください! 度胆抜かれます。

【攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/2nd GIG】可愛いタチコマ登場! サイバーテロを扱った神山健治版

画像5

「攻殻機動隊」シリーズが面白いのは、どのシリーズから入っても楽しめるというところ。なかでもこの神山健治監督版は、キャラクターデザインも変更され、タチコマという愛らしい思考戦車も登場するなど、原作コミック、押井版とも味わいの異なる「第三の攻殻」として見どころも多いです。

人間の脳が電子化され、身体も義体化されていく世界。新しい技術が生まれると新しい犯罪も起こります。ハッキングです。人に乗り移って操ってしまうサイバーテロ、そしてその犯罪に便乗していく「社会」や「群集心理」を扱ったのが神山版だとも言えそうです。SFやアニメという手法を使って、社会の在り方や政治の在り方という、現在の社会との接点を考えさせてくれます。

テレビ版の総集編である「The Laughing Man」と「Individual Eleven」を観ていただければ、この作品の魅力がわかります!


画像4

画像4

【攻殻機動隊ARISE】エピソード0(ゼロ)から入る攻殻もアリ! 公安9課ができるまで

攻殻機動隊ARISE_copy②

原作、押井版、神山版ともまた違ったアプローチで描かれた黄瀬和哉総監督による「第四の攻殻」。
このシリーズの位置づけは、「エピソード0」的な感じです。シリーズすべてを通して犯罪に立ち向かう、草薙素子少佐、荒巻課長が率いる「公安9課」がどのようにして結成されたのかが描かれます。このシリーズから時系列で遡って、神山版、押井版などを観るのもいまだからできる視聴方法です。

素子少佐の過去が明らかになり、また後の同僚ともなるバトーやトグサといった面々とも、最初は闘ったりする仲だったことも描かれます。おっと、これは多少ネタバレになっちゃいましたが、ご心配なく。彼らがどのようにしてひとつの組織となっていくかが作品の肝なのです。

攻殻ファンとしてはこれまでのシリーズとの味わいも楽しい、私は大好きな作品です。

text/サンキュータツオ


サンキュータツオ プロフィール

1976年東京生まれ。漫才コンビ「米粒写経」として都内の寄席などで活動。
早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。
アニメ、マンガなどを愛好しており、二次元愛好ポッドキャスト「熱量と文字数」を毎週水曜日配信。「このBLがやばい!」選者、広辞苑第七版サブカルチャー項目執筆担当者。一橋大学などで非常勤講師も務め、留学生に日本語や日本文化も教えている。Twitter:@39tatsuo



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!