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この冬観ておきたい!オススメ韓国ドラマ特集

この冬、どんな韓ドラにハマる?!Kカルチャーコラムニストの古家正亨さんがHuluで観られるイチオシの3作品をピックアップ!どの作品も2023年1月10日(火)までHuluの公式YouTubeで第1話を無料配信中です。

「アゲイン・マイ・ライフ~巨悪に挑む検事~」
ありそうでなかった新しいタイプのヒーロー誕生

「正義が悪を裁く」という、非常にわかりやすいフォーマットの作品ですが、だからといって、これまでの作品とは一味も二味も違う魅力があるのがこの作品です。
無念にも殺されてしまった検事が、巨悪への復讐を条件に2度目の人生を与えられて、再び立ち向かうというヒーローを主人公に据えて、その主人公を、クールすぎるイケメンであるイ・ジュンギさんが演じたことで、主人公のキャラクターにグッと深みを与えた作品と言えます。
原作がWEB小説であるがゆえに、その世界観に縛られがちの作品が多い中、作品に自分を投影するのではなく、原作に忠実でありながらも、“イ・ジュンギらしさ”で、新しいキャラクター像をしっかり作り出しているところが、韓国において、視聴率でも成功を収めた理由ではないでしょうか?

「ブラームスは好きですか?」
夢と希望、苦悩と葛藤が描かれたクラシック音楽のようなラブストーリー

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で時の人となっているパク・ウンビンさんが主演なので、彼女のことが気になる方は“絶対”観た方が良いと思う良質な人間ドラマです。
実在の人物、ブラームスの実際の恋模様とシンクロするドラマの人間関係に、単なるラブロマンスを超えた作品性を感じずにはいられません。ベースとなるのはパク・ウンビンさん演じるバイオリニストを目指すソンアと、世界的に名の知れたキム・ミンジェ演じるピアニストのジュニョンとのラブストーリーですが、恋愛だけでなく、同世代の人々が抱く葛藤や苦悩、それを乗り越えて実現していく夢がしっかり描かれているので、もやもやとした気持ちの霧が徐々に晴れていく、前向きな青春賛歌に仕上がっているところに個人的には特に胸打たれました。
登場人物に誰かに自身を重ねられる作品だと思います。まるでクラシック音楽を聴いているかのようなストーリーに身を委ねてみてください。

「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」
韓国ドラマ史における傑作中の傑作!

僕の人生における最高の韓国ドラマは『ミセン―未生―』とこのドラマ。「何が良い?」って、すべてが良いんです。
演出を手掛けているのは、その『ミセン―未生―』と同じキム・ウォンソク監督。今、韓国で深い人間ドラマを撮らせたら、この監督を超える人はいないでしょう。独特なクローム系の青が印象的な映像美は、どこかに“闇”を抱えた人物が常に登場する、このドラマの世界観にピッタリ。
それぞれに、辛い思いを秘めた人々が交叉する都会で、希薄になりつつある人間関係の大切さを改めて観る者に問うテーマですが、決して説教臭いものではありません。なぜなら、監督のそんな人々を見つめる目がとにかく温かいんです。
是枝裕和監督が、このドラマにハマって、主演のイ・ジアン演じるIUさんをキャスティングし、映画『ベイビー・ブローカー』が完成したというのも頷ける一作。
自分が“おじさん”だからなのか、イ・ソンギュンさん演じるドンフンに自分自身を投影させ、どうか幸せであってほしいと涙しながら願わざるを得ない、そんな気持ちにさせられます。歳の離れたドンフンとジアンの関係は、職場の戦友なのか、家族のようなものなのか、ソウルメイトなのか、それとも恋なのか……。決して明かされない最後に、その解釈を視聴者に委ねるところも最高です。
個人的には、このドラマを超えるドラマはありません。韓国ドラマ史における傑作中の傑作だと思います。

Text/古家正亨