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この面白さ、ジャンル分け不可。

医療モノ。ラブコメ。ミステリー。ドラマには、そんなジャンルが不可欠。けれど、時にはジャンル分けが一切通用しないドラマがある。それが、『となりのナースエイド』だ。

一気見必至! 時間をつくってご覧ください

©NTV/知念実希人/KADOKAWA

第1話だけを観て、規格外の主人公が時に周囲を振り回しながらも患者と向き合い、心と命を救う“よくある医療ドラマ”とレッテルを貼ってしまったら、それはあまりにも早合点だ。

『となりのナースエイド』はそんな簡単にジャンル分けされるようなドラマではない。むしろラブコメからミステリーまで、あらゆる要素を盛り込みながら、回を重ねるごとに、どんどん意外な展開を見せていく、ラベリング不可能のエンターテインメント作品だ。

次々と浮かぶ謎と疑惑。今や連続ドラマは「クリフハンガー(続きが気になる終わり方で視聴意欲を掻き立てること)」が欠かせないと言われるが、このドラマはそれが抜群に上手い。だから、一度観だしたら止まらない。

サブスク全盛の時代にふさわしいビンジウォッチングドラマが誕生した。

クセ強キャラが彩る本格ミステリー

©NTV/知念実希人/KADOKAWA

圧倒的な知識量を持ちながら、医療行為が認められていないナースエイドとして働く桜庭澪(川栄李奈)。なぜ彼女はナースエイドという道を選んだのか。その真実に迫る起伏に富んだストーリーが、本作の大きな魅力だ。

ライトなコメディはただの入り口。そこから始まるのは、澪の姉・唯(成海璃子)の死の真相を追う本格ミステリー。二転三転するシナリオは、まさに脱出不可の迷宮だ。

しかも、そのミステリーを彩るのはクセの強すぎるキャラクターたち。味方だと思っていた相手に不穏な影が差したり。ただのコミックリリーフとあなどっていたキャラがダークな顔を見せたり。コメディとシリアスの絶妙なバランスに、いい意味で翻弄されっぱなし。

この迷宮は一体どんな出口に辿り着くのか。その答えは、最終話まで観た人だけが知っている。

ラブだけじゃない男女の絆に癒される!

©NTV/知念実希人/KADOKAWA

原作は、医師と作家の2つの顔を持つ知念実希人による同名小説。当初からドラマ化を視野に入れて書き下ろした新作だ。シムネスとは? オームスとは? 荒唐無稽ながら説得力のある設定は、本屋大賞に5度ノミネートした医療ミステリーの名手だから描けるもの。

そんな鉄板のストーリーテリングもさることながら、チャーミングなのが澪と天才外科医・竜崎大河(高杉真宙)のバディ感だ。当初は反目していた2人が、やがて信頼できる相棒になるのは、王道中の王道。ただし、この2人の場合、そこにラブが芽生えるようで芽生えないところが愛おしい。

周囲は2人の仲を冷やかすものの、当の本人たちは会えば軽口を叩き合うばかり。そこに男女の色気はゼロ。だからこそ安心して2人の小学生みたいな小競り合いが楽しめる。

ラブだけじゃない男女の絆にほっこり癒されるのだ。

天才外科医・大河先生にハマる人が続出!

©NTV/知念実希人/KADOKAWA

クセ強キャラの総本山のような本作で、とりわけ人気を博したのが、大河先生だ。外科医としての腕は超優秀。ゆえにプライドが高く、常に上から目線の俺様男子。と思いきや、そんなテンプレートにおさまらない魅力が次々とあふれ出してくるからたまらない。

職場では超エリートだが、家ではただのオタク…なんてギャップはまだ序の口。お酒に弱くて、酔っ払うとつい親子愛にほだされたり。いつもは無愛想なくせに、子どもの前ではピカチュウのモノマネをしたり。着信音がなぜか猫の鳴き声だったり。思わずキュンとなるギャップの玉手箱。人に干渉したがらないように見えて、実は面倒見が良くて、なんだかんだ厄介事に巻き込まれる大河先生のことが、いつの間にか大好きになっているはず。

ギャップに弱い皆々様、今すぐ大河先生沼へダイブしてください!

Text/横川良明

プロフィール 横川良明
1983年生まれ。大阪府出身。ドラマ・演劇・映画を中心にインタビューやコラムなどを手がける。著書に、『役者たちの現在地』(KADOKAWA)、『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』(サンマーク出版)がある。X:@fudge_2002