狩野さん 急変 part17

それは足浴の17日から5日たった23日の夕方のことだった。
朝と夕の支援に入ってたヘルパーが、夕方に事務所に来てこう言った。
「狩野さん、朝から血圧が低いの。元気がないんよ。昨日の朝から何も食べてないみたいだし」
「えっ?!」聞いた私は思わず椅子から立ってしまった。
「狩野さん大丈夫なんですか??」と聞くと
「分からない。これから看護師さんがくるみたいだけど」と報告を聞いた。
本日、朝から事務作業をしていたから朝に報告を聞いていれば駆け付けたのに。
私が行っても何もすることはないと思うけど、それでも狩野さんの状態が心配だから、狩野さんの訪問に行きたかった。
なんか悔しい。

そのあと、社長から連絡があった。
{もしかしたら狩野さんもうもたないかもしれないから明日の朝は後輩と一緒に行ってほしい。後輩に看取り学んでほしいから一緒につれていって}と。

え???看取り?
狩野さんそんなに悪い状態なの?
え、なんでなんで?
信じられない。

私の頭の中はパニック状態になった。
とりあえず、明日の朝 行ってみよう。
後輩にも状態を伝えた。
「昨日、こんにちはっていつも通りでしたよ?信じられないです。明日よろしくお願いします」と返事がきた。

24日、朝 後輩と訪問した。
狩野さん、顔色がとても悪く肩呼吸していた。直前にエンシュアを少し飲まれたとのことだが、食事はとれていないとのことで、血圧が70台と低かった。
排泄介助時、右腕の痛みの訴えが強かった。無理はしないようにし、休んでいただいた。

狩野さんの状態が心配だったが、次の訪問があるため支援が終わってから
次の訪問先で後輩と二人で支援をしていた。
どうしても狩野さんのことが気になって仕事に集中できない。
あえて口にしなかったが後輩が
「狩野さんのことが心配なんですけど、これ終わったら行ってみていいですか?」と言った。
「心配だよね。私も気になってるんだ。一緒に行こう」と一致団結した。

14時半、二人で訪問した。
今、大事な時間に 狩野さんに何かしてあげたかった。
その思いは後輩も一緒だった。

朝に比べて肩呼吸は落ち着いているが、顔色悪く苦しそうな表情をしていた。左腕で血圧を測ろうとしたが左腕も痛みの訴えが強く、測定中止した。
この状態では、一人での排泄介助はお互いに負担が大きいと判断し、社長に夕方の支援は後輩と二人で入らせてもらえないかと相談した。
社長の承諾をもらい、夕方の支援に入れることになった。
後輩が「支援に入れて嬉しいです。狩野さん大好きなので何かしてあげたいです」と言った。
私も同じ気持ちだった。
出来ることは限られているけど、何かしたい。
近くにいたい。
狩野さん、元気になってほしい。

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