散文:BUCK-TICK「ミウ」

こう見えて、日々触れるものに対して色んなことを考えているのだけど、いつもカッコつけたものを書こうとして全くアウトプットできていない。

なので今日からハードル下げまくりで

1. 140文字以上書けばOK
2. 文体を統一しなくてOK
3. テーマ自由

をコンセプトに好きなように文章を書いていくことにする。
なるべく毎日更新をめざして続けるぞ。

今日は仕事中にずっと聴いていたBUCK-TICKの「ミウ」という曲について。

ミウ、今まで知らなかったのが惜しいくらい、カバーも原曲も名曲だった。
知ったきっかけは、BUCK-TICKを好きな友人が三枚目のトリビュートアルバムの話をTwitterでしていたのを見かけたことからで、ミウはその中のひとつだった。

BTは大学の時にその友人経由で知り、ライブにも一度連れて行ったもらったことがある。
わりと聴く頻度は高いのだが、ファンではなく友達の推しという距離感なのでメンバーのパーソナルな部分はあまり知らない。
アルバムのたびに音楽性やビジュアルがガラリと変わって、知的でセンスの良いバンド、という印象だ。
引用元が多岐にわたっていて、そのエッセンスがわからないくらいに自分で咀嚼をし再構築をしているものを、わたしは知的だと思っている。

トリビュートのシリーズは一枚目からずっと聴いている。
出来の良いカバーが多く、毎回誰かしらすごく好きな一曲があるのだけれど、今回はこのミウだった。
カバーしているのは坂本美雨さん。知らない方なので調べたら坂本教授と矢野顕子さんの娘だった。ドサラブレッドだった。
自分の名前と同じだからこの曲にしたんだろうか…?バンドのことをよく知らない自分には、この方とBTのどこに繋がりがあるのか謎だ。

原曲をまったく知らないまま聴いたカバーは、さいしょ変拍子のピアノとささやくような声がホラーというか、すこし危うくて怖かった。
でもサビは儚さと美しさが際立って幻想的で、すごく好きだった。
きれいだけど触れるとなくなってしまうものを、遠くからそっと眺めるような気持ち。
今までBTに繊細さを感じたことはなかったけど、この曲を女性がカバーしたのは大正解だと思った。

さて原曲はというと、何倍もおだやかで優しかった。キーもずっと低くて、全然違うイメージだけど、根底にある儚さは同じだと感じた。
櫻井あっちゃんの声は、暗いけれどいつも優しいと思う。
この曲はそれに加えて、遠くの国のことを考えながら歌っているみたいな心ここにあらずな声がマッチしていて、とても良かった。

一回聴いて、JUPITERを好きになった時と同じさびしさを感じる曲だなと思ったら、作曲したのが同じ人だった。
星野、かなしいことをきれいに書かせたら天才なのかもしれない。

わたしにとって音楽は文学にちかい部分をつかって理解しているふしがあり、歌詞は結構気になる。
なので自然と好きな文体やテーマのアーティストを選んで聴いている。
そんな中で、BTは珍しくどれも歌詞を気にしたことがない。
散らばっているというか、前後を考えずに流れてくる情景を表す言葉がポンポン並べられている感じなので、音の合間にフレーズだけ耳に残るくらいで、気にするというよりも、あまり印象に残っていない。
不思議とその希薄さが好きだ。曲に紛れる歌詞とでもいうのだろうか。

ともあれカバーも原曲も名曲だった。そういえばドレスも好きなので、星野曲が好きなのかもしれない。

終盤の「編み上げブーツはく少女」の前のメロディ、そこからいきなりすごく優しくなる。
そこでいつも泣きそうになる。
声がいきなり現実味をおびて、自分に向かって話しかけられているような気になる。
そしてこっちを見たと思ったらすぐ消えてしまう、幻みたいな終わり方だ。

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