散文:囲碁とヒカルの碁

昼食にテイクアウトした中華を食べながら、なんとなく囲碁将棋チャンネルを観ていた。
囲碁のルールは全くわからないくせに、大きなホワイトボード状の盤面にマグネットでできた碁石をつけたりはずしたりする、あの解説の画を見るのが好きなのでたまに観ている。
わたしにとっての囲碁はこれと、あとは漫画のヒカルの碁しかない。

ヒカルの碁しかない、などと言ったが、これも特に詳しくはない。流行っていた頃に読んだだけだ。
内容の記憶ももはやおぼろげだが、唯一頭に絵が浮かぶのが、saiと塔矢名人がネット囲碁で対戦するところのシーンだ。
toya koyoの文字を見つけ対戦を挑んだ佐為に、saiだ、あのsaiだ、と世界中のあらゆる人がパソコンの前に駆けつけ、寝ていた人がたたき起こされたりもしていた。
なんでこのシーンだけ思い出せるのかわからない。
地球の裏側でも囲碁をやる人がいるんだなぁ、と思ったことを覚えている。
たしかこの時の対局がもとになって、まもなく佐為は消えてしまうのだった。
佐為が消える悲しさがわたしには結構堪えて、その先をきちんと読まなかった気もする。

いま、囲碁はコンピュータが人間に勝ってしまう時代になったらしい。
5戦やって4勝1敗。
相手である韓国の棋士がただ一度だけ勝利した手は、かなりの奇想天外な手だったという。
まさに神の一手、漫画みたいな話である。

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