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11年目の

2020年3月20日
伊藤 計劃が亡くなって11年目らしい。

遅まきながら6年ほど前、小説「虐殺器官」を読んだのをきっかけに知った。それを読むまで私は特定の人物の作品を追いかけることなく、その場で気ままに表紙買いなどしていた。

虐殺器官

SF好きには言わずと知れた作品で「ゼロ年代SFベスト」国内篇で第1位をとった名作だ。
これがまぁ私に刺さった刺さった。何がどう、と言われると評論家でも何でもないので上手く言葉に出来ないが、兎も角「死」に対する描写が好きだ。

生と地続きにある死は隣に寄り添っている。それはキリスト教圏みたいに忌避するものでもなく仏教みたいに転生できる希望でもなく、ただあっさりとそこに有る。

というのが何となくの読んだ感想だった。
それがどんな技術が発展し統率された世界、harmonyのような舞台でも根底にあったのは彼の世界だ。

それが肺癌を患い病にあったからこそ描けたのか、時系列は分からない。

そんな作品を生み出していた彼が亡くなって11年。11年の間に凄まじいスピードで世界は発展し変容し、これからも指数関数的な勢いで変わっていくだろう。もし生きていたら、と言っても無粋極まりないが彼は何を思っで世界を見ているだろうか。

そんな取り留めもないことを思った、よく晴れた日の桜が綺麗な11年目の命日でした。

おわり


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