バレンタインの翌日

 バレンタインに縁がなさ過ぎて『バレンタインズデイ』だったか『バレンタインデイ』だったか、はたまた『バレンタインデー』だったのかも定かでない。まあ、どれでも意味は通じると思う。とにかく縁がない。
 完全にないと言えば嘘になるけれど、あると言い切れるほどのエピソードも持っていない。バレンタインのエピソードがないということは、ホワイトデーのエピソードもないということである。違うか?
 バレンタインにもらってもいないのにホワイトデーにお返しをする奴がいるってのかよ? だったら連れてきて見せてもらおうじゃねえか。
 そんな嫌なからみ方をしそうなぐらいには縁がない。
 だからといって別に失意を感じるとか、そういうことはない。
 それは中学生ぐらいの時にすませたので大丈夫である。あれは映画や漫画やアニメや、一部の人々にとってのみ意味のあるイベントである。そんな風に捉え直すことができた。
 と、ここまで書いているうちに、そういやもらってたな、チョコレート。と、思い出した。考えてみたら、それなりにもらっていたかも知れない。
 なんだ。
 じゃあなんで今まで忘れていたんだろう。それはきっと失恋の辛い思い出を忘れようとしていたせいさ。そう呟いてワイングラスを傾けた、君の唇が嘘をついた。お気に入りのラブソングが、いつしか辛い記憶へと変わっていくの。ああ、そんな思い出が、いつまでも波のようによせてはかえす。人生ってそういうものなのね。まばゆい一瞬も、そんな風に変わっていくものなのね。話は変わるけど、八〇年代のアイドルソングとかってけっこうメロウな曲調のものが多くて子どもの頃は苦手だったんですけど、最近になってちょっと好きになってきて、ぼちぼちと聞いていたりする。歌詞にはまるで共感できないけれど。なんか好き。

 なんの話?
 

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