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採用担当が持っておきたい広報視点とノウハウ(2/5)-新卒採用ルールの奇妙さ-

採用広報を考えるようになったきっかけ

前職でアメリカマイアミにいたときに、メキシコのモントレイ工科大学の大学生をインターンシップとして受け入れるために、面接をしたり、カリキュラムを作成したりしたことがあって、採用というのはそれ自体が社会貢献というか、育成の一環なんだと思ってきました。

なので、2013年にニトリ入社して、2015年にニトリ志村三丁目駅前店長から新卒採用のマネジャーになった当初は、「日本の新卒採用の異様な慣習」にとても当惑しました。就職協定という、「学生の勉強時間」を人質に取った、なんとなく守らないといけないようなルールがあって、これを皆で守っていくと、既に認知の高い伝統的なブランド企業は安定的に効率的に採用活動ができて、新興企業にっては採用活動は制限されているような状況が長い間常態化してきているようにしか見えませんでした。

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特に指針はひどいと思いませんか?広報活動までが期間を含めて制限されていて、4年生になるまで「学生の会社を知る権利」が制限されてしまっているんです。
僕はこのとき、違和感を感じたのが、会社のことを伝える広報は、年度ごとに変化するものではないはずなのに、これを年度ごと(例えば、「20年卒」とか「21年卒」のように)文壇していることに大きな問題を感じました。

その結果、多くの企業は毎年毎年、ナビサイトと呼ばれている会員制サロンに多額のメンバーシップフィーを払って、その集会(合同説明会)に参加しなければならないという状況でした。多分、ずっと人事で採用活動をしている人にとっては、当たり前の風景なんでしょうが、アメリカでインターンシップを設計していた僕にとっては、とても異様な光景でした。

もうこれは、、、というような新卒採用にまつわる悲しむべき事件も多く起きました。

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自分の価値観好奇心に向き合って、大学で学んだ様々な社会的課題のうち、仕事を通じてどのようなものに向き合っていくのかを考え、さらにはその実現のために自分が参加したい事業活動(企業や組織)を見定めていく。それが学生にとっての本来の就職活動だと思うんです。

やれ「売り手市場だー」という、新卒採用関連の業者が創り出したステージの上で、時間をかけて行うべき就職活動期間が、短期間でパッとくじ引きみたいなマッチングでサマーフェスタのように過ぎていくお祭りでいいのだろうかという疑問を持ちました。

喧伝される外部環境(少子化、有効求人倍率と売り手市場)に惑わされる企業も大変です。本来、採用活動において伝えなければならない内部環境(自社の理念や業務)を伝える大切な機会や時間を失っている企業を多く見てきました。技術的問題(母集団が集まらないなど)に目が行き過ぎて、本来の適応課題(新卒採用を通じて、未来組織を作ること)に対応することができなくなっています。

「小売業の有効求人倍率は12倍ですよねー。うちの最新のAIを使った内定辞退ツールをつかいませんか?」こんな切り出しをする業者さんとの面会時間は5分で席を立たせていただいたりしました。(その節は血の気が多くて失礼しました。)

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そんな中で、足元の採用は成功させないといけないけれど、小手先で薄い関係の方々を集めるための広報はやめてしまって、じっくりと何年もかけて、学生のキャリア構築につながる通年広報をやろうと決めていろいろな取り組みをしてきました。採用広報の概念に基づいて、適切に実績を積み重ねることで、2年くらいで自社で長く活躍していくれる、未来を作っていってくれるマッチした人材に驚くほど集まってもらえるような状況を作り出すことができました。


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