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さらば、我が青春の…①

人生には入学、卒業、就職など様々な「ライフイベント」がある。
そこでは様々な出会いや別れが発生する。
自分にとってのソレは「結婚」
そして、そこで生じたのはコレクションとの「別離」であった。

社会に出て、自分で収入を得るようになると自由に出来る資金が圧倒的に増える。
自分はフィギュアのコレクションにそれを費やした。
主に集めていたのはDVDとバンダイの「S.I.C(スーパーイマジネイティブ超合金)」、スターウォーズの「ベーシック・フィギュア」。

S.I.Cに関しては初期の固定モデルはメチャクチャにカッコ良いとは思っていたものの手は出さなかったが、初の可動モデル同梱の「サイドマシーン&キカイダー」の発売が発表されると我慢が出来ずに即購入。
竹谷氏の造形とデザインアレンジが素晴らし過ぎて、購入後は眺めてはニヤニヤするというのをずっと繰り返した。
続く「ハカイダー」や「サイクロン&仮面ライダー」なども原作リスペクト+アレンジが絶妙で次々と購入。
石ノ森 章太郎の原作で一番好きだった「ロボット刑事」に至っては固定モデルしかリリースされていなかったが、ウン千円するフィギュアを切り刻むのにビビりながらも、当時販売され始めた関節パーツを使って可動出来るように改造したりなどまでしていた。
以降も新たにリリースされるモノを買い続けていったが、箱がデカいのもあって気付けば結構な物量になってしまっていた。
「シャドウムーン」が発売された頃であろうか、そんな物欲全開でコレクションを続けていた自分にも遂に「年貢の納め時」が訪れた。

借金でもしていないとつまらない会社勤めなんて勢いで辞めてしまいそうな自分の性格をよく分かっていたので、当時既にウン十年のローンを組んでマンションを買っていた。
(勿論、未だローンは払い終わってはいない…)
そこはいわば「自分一人の城」で、一つの部屋は完全な自分の趣味部屋としてフィギュアやプラモ・DVDのコレクションが所狭しと置かれていた。
「結婚する」という事は即ち、このマンションは自分一人のモノでは無くなり、以降は連れ合いと共有する空間となる訳である。
連れ合いの荷物も持ち込まれるし、いずれは子供も…という話になり、当然の如く、連れ合いからはコレクションの処分が命じられてしまった。
なんだかんだで、これまでのように給料を自由に使えなくなるぐらいの覚悟は当然していたが、予想外のコレクションの放棄は相当応えた。
話し合いという抵抗を繰り広げ、DVDは勘弁してもらったが、フィギュアは全て処分するという事で話がついた。
(DVDは当時発売されていた「マカロニ・ウェスタンコレクション」がもう少しでコンプリート。さらにマカロニ・ウェスタンを放棄する事=自分のこれまでを否定する事に等しい事なんだ!と自分でもよく分からない論理を熱弁してこちらの処分は勘弁して貰った。)

こうして自分のライフイベント「結婚」は喪失から始まった。

新婚数ヶ月にして、既に結婚を後悔している自分がそこにいた。
…確かにいた。

(つづく)

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