見出し画像

仕事を始めた話_オランダ日記・2022/12/27

ようやくビザを手に入れました!ほぼ6ヶ月間、なんだかずっと地に足が着かない感覚が拭えなかったので、ほっとしています。

そして、12月頭より、なんとオランダで定職につきました!
と言いつつ、私は個人事業主ビザでオランダに住んでいるため(やっと声を大にして言える!嬉しい!)、フリーランサーとして月毎にインボイスを発行してお給料をもらう、という形式です。でも、毎月定まったお仕事+お給料をもらえるので、定職と呼ぶことにしました。

Mediamatic

勤務先はMediamatictというアムステルダムにあるアートセンターです。
8月10日の日記でも少し紹介しました。

Mediamaticは、1983年以来、芸術の新しい発展を目的としたアートセンターです。国際的なネットワークの中で、自然、バイオテクノロジー、アート+サイエンスに焦点を当てたレクチャー、ワークショップ、アートプロジェクトなどを開催しています。

ウェブサイトより。DeepLによる翻訳を筆者編集。
https://www.mediamatic.net/en/page/10341/about-mediamatic

面白いところなのでMediamaticについて、これから回を重ねて少しずつ紹介していこうと思います。

Mediamaticで働くことになった経緯

Mediamaticは日本にいた頃から、大学院のゼミ仲間と「面白いプロジェクトしてるな〜」とウェブサイトを見ていた、憧れの、そして、ちょっと謎な場所。

今日は、そんなMediamaticで私がどうやって働くに至ったかをシェアします。異国に飛び込み、就活!のような形式でお仕事につかなかった個人の経験談がネットの世界を漂って、誰かのインスピレーションになったり、ならなかったりするかな、という思いで書き連ねます。

タイムラインはざっと以下の通り。

6月末:渡蘭(ビザ申請開始)
7月:留学時代の友人にくっついてMediamaticに遊びにいく。
8月:留学時代の友人にくっついてMediamaticのPigeon Towerのお世話を週一でする。
9月:Mediamaticのイベントのための折り紙プロジェクトのコミッションを受ける。
10月:上記プロジェクトをきっかけにワークショップ・マネージャーのオファーを受ける。
11月:面接2回。2回目で採用決定。
12月:仕事始める(ビザ受け取り)

7月:

オランダ留学時代の友人らがArne Hendriksのもとでインターンシップをしていた関係で今もMediamaticを出入りしていると聞き、7月末に彼女らと遊びに行きました。その際、Arne不在の間、友人がArneの作品のお世話をすることが話題になりました。勇気を出して、私も手伝いに来てもいい?と聞いてみたところ、いいよ!と二つ返事で承諾してもらい、8月に週一でMediamaticに行くことが決まりました。アルバイト代などは期待しておらず、憧れのアートセンターに片足突っ込めた!ということだけで十分でした。


8月:

毎週金曜日にMediamaticにいき、腐りかけ(というか、腐っていた)の廃菌床を積み上げたり倒れかけのPigeon Towerをノコギリで解体したり、とにかく身体を動かす仕事をこなしました。何か新しいものを作るというより、そこにある(腐りかけで誰も触りたくない)素材や生き物と向き合う修行かよ!?というような作業でした。これが新しいデザインなのか、、、と謙虚な気持ちになる瞬間もあったし、マジで無理!!ニオイがキツすぎる!!って発狂しそうなこともあったし、大量の蜘蛛が出てきて凍りついたこともあったけど、総じて友人や他のインターン、アーティストらとわちゃわちゃ作業しているのは楽しかったです。それに、デザインとは何かということを悶々考える時間にもなりました。

また、その頃は私はビザの関係上仕事をしてはいけない、かつ、移民局からの手紙を登録した住所で大人しくひたすらに待たなければいけない時期だったので、週に一回の息抜きでもありました。

壊れかけた塔を解体中。普段は自然に分解するのを待つが、これは設置場所が悪く危なかったので、人力で解体した。
友人と。Pigeon Tower Conciergeと自らを名乗って活動した。

9月:

私が熱を出してダウンしたため、Arneに挨拶する日+お手伝い最終日が2週間ほど押してしまい、9月半ばに友人とMediamaticへ。
たまたまボスとアルネ、友人の4人で昼食を食べていると、ボスに「人間が身につけられる鳩のクチバシの折り紙のデザインをできる人を探しているんだ。誰か知らないかね?」と聞かれました。Mediamaticでの会話の突拍子のなさには慣れてきていたので、まずは目的を聞いてみると、「11月に鳩をテーマにした一夜限りの大イベントを企画していて、来場者全員に鳩に変装できるようなクチバシを作りたいと思っている。でも、1000人規模のイベントなので、来場者が自分で作れるように折り紙のようなアイディアを求めている」、その上、「夜のイベントだから、酔っ払いがくる。酔っ払っていても折れるような、シンプルなものを求めている。」ということでした。
そこで、「折り紙の専門家は知り合いにいない。だけど、酔っ払いでも折れるような簡単なクチバシの図案なら私でも考案できるかもしれない。小学生の頃よく折り紙していたからね」と答えました。
「そうなんだ!また何か作ってみてよ!」と言われ、「うん、いいよ〜」と会話の流れで返事。

すると、1週間後、友人からボスがエマに電話したいと言っている、と連絡があり、2週間で折り紙クチバシを考案して欲しいと電話越しに言われました。デザイン料は500ユーロ!
やばい!ガチなやつやん!となり、もう一人の日本の友人を巻き込んで人間が身につけられる、そして、口の動きに合わせて動くクチバシのプロトタイプを作って、動画に撮ってボスに送りました。

プロトタイプ第1号。巻き込んだ友人が冴えてた!最高。
クチバシが動くことを映像に納めて送信!

10月:

そのプロトタイプ動画のおかげで話が進み、ラピッドなプロトタイピングとMediamaticでのボスらとのミーティングを重ね、最終発表に友人と挑みました。4人の大人がクチバシをつけて、「これはいい。」「うん、これで行こう。」「ここはどうなっているんだね?ちょっとサイズ感は要検討だね」「予算はまた相談しよう。」など、クチバシをパクパクさせながら言っている間にミーティング終了。
ボスが去ってしまったので、唖然と座っていると、ミーティングに同席していたプロジェクトマネージャーに「つまり、あなたたちの案で決まり!ということよ。おめでとう。これからもよろしく!」と言われ、オランダで初めてのデザイン案件が決まったのでした。


ボス
プロジェクトマネージャー

その渦中、実はボスから、「一言いいかね?」とテキストメッセージが届きました。
私は勝手に友人をクチバシプロジェクトに巻き込んだことを注意されたり、ミーティング中にボスに口答えをしたり、と色々やらかしており、心当たりしかなかったので、もしかしてクビ!?と心配になり、とにかく、プロジェクトをクビにされないために、箱いっぱいの新しいプロトタイプを持ってボスの元に向かいました。


いろんな色や紙質を試したプロトタイプ。これを箱に詰めて持っていった。

「あの、新しいプロトタイプも着々と進んでおりまして、、、」と、どうにかプロジェクトを引き続きさせてもらえるようにプレゼンを始めると、「いいよ!今はその話がしたいんじゃない、とりあえず座りなさい」と言われ、「これからどうするんだ?」と聞かれました。
「ビザが降りれば、オランダでフリーランスのデザイナーとして、、、モゴモゴ、、、」
「お金はどうするんだ?職は?」
「そうですね、、、お金はいつかなくなるし、職はないです、、」
「君は、すぐ人を巻き込みたがるようだな。勝手にチーム名を増やすし。困ってしまうよ。でも、ワークショップマネージャーにはいい素質だ。ワークショップの企画と運営に興味はあるかい?」
なんと、Mediamaticでの定職のオファーだったのです。

びっくりしましたが、「検討します。」と答えました。

11月:

私が引き継ぐことになるその時のワークショップマネージャや日本にいる友人に相談に乗ってもらい、意思を固めました。そして、お話をいただいて1週間後にぜひワークショップマネージャーをしたいと答えました。

それから、
一次面接:ボス二人と面接。
(面接にデニムで来てしまった、、、失態だ、、、と後悔していたのに)、面接は「何か飲む?」という質問から始まり、暑い日だったので咄嗟に「レモネード!」と元気に答えてしまい、ボスがレモネードをとりに行ってくれました。(振り返りながら書いていると、自分のことながら、、コヤツ、、、となる瞬間があまりにも多い、、、、)
面接は、少し改まっていたし、質問にはしっかりと答える必要があったけど、YouTubeで見た日本の面接より10倍くらいフランクでした。

二次面接:同僚となる人たちと面接。一次面接のボスたちも同席。
鳩のイベントを経て、お互いに知り合いになっていたので、和気藹々とした雰囲気で面接は行われました。
「あなたはどうやってプロジェクトを進める?」
「今までの仕事で嫌だったことは?」
「ストレス下でどうやって働く?」
「インターンが多いけど、そういうの大丈夫?いろんな悩みを持った若い世代をどうやってサポートする?」
など聞かれました。
面接が終わると、「お給料は前のワークショップ・マネージャーを参考に時間に合わせて調整しよう」と言うボスと握手を交わして採用が決まりました。

以上、オランダに飛び込んで定職(仮)を手に入れた経緯でした!
次回、Mediamaticで働く!の巻。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?