原子力発電所の危険性


 2011年の福島第一の事故後、報告書がいくつかまとめられてそれを読んだ。再度読み返す事はしないが、ポイントはいくつか覚えている。

 地震による一番最初の損傷の問題は、送電線鉄塔の基礎が崩れ、送電が止まったことだと言う。ここで思うのは、発電所で売るほどの電気を作っているはずなので何故外部電源を必要とするのだろうと言う疑問だ。要するに制御のための安定した外部電源を必要とするのである。自動車のバッテリーの位置づけと同様だろうか。
 人間の冠動脈の様な設計思想は無い様子だ。また、発電を始める時に発電機の励磁と言う作業が必要なので、外部電源無しで考えることは出来ない。

 フラスコの形に似たBWR式(ボイルド・ウォーター・リアクター)は、直径が1センチほどのジルコニウムの鞘管に収められた燃料棒の周囲を秒速4mで水流が駆け上がる。燃料棒の下でファンを回すモーターがある。燃料棒の外部と中心では確か千度近い温度差があると言う。これ、水流が止まったら一発ではないか。
 原子力発電所で、緊急事故の予行演習は出来ないと思う。模擬的にも事故を再現出来ないからだ。したがって、ベントだ何だと言ったところで、絵に描いた餅だ。

 ここのところ、北朝鮮のロケットマン(トランプの命名)が忙しい。
 ミサイルでなくても、無人のドローンを侵入させて、原子力発電所の外部電源の鉄塔を破壊したらどうだろう。割と簡単に周辺の放射能汚染につながることは、福島第一の教訓である。ミサイル系のテロにによる原子力発電所の脆弱性を指摘していたのは丹羽宇一郎氏であった。ただ、同じ講演会で共産党嫌いも表明していたが。

 大型の飛び道具に対する防衛や、中国の侵略などを怖がっても、少し考えれば全く見当外れと思われる。小心者ほど敵を作りたがる。想像力の問題である。

 原子力政策は、変える必要がある。

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