岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 #気ままに読書感想文
岩田さんの人柄が伝ってくるような、優しく語りかけるような、だけど本質的な言葉の数々が印象的だった1冊。
人間はやっぱり、自分のやったことをほめてくれたりよろこんでくれたりする人がいないと、木には登らないと思うんです。
「判断とは、情報を集めて分析して、優先度をつけることだ」ということがわかったんです。
「そこで出た優先度に従って物事を決めて進めていけばいい」と思うようになりました。
どう情報処理を進めていくべきか。
面談のプログラムの中で、唯一決まっているのが「あなたはいまハッピーですか?」という最後の質問でした。
「幸せ」ともなんだか違う。
「ハッピー」、この音のポップさが楽しさの余韻を持ったまま問いかけてくれるのかもしれない。
基本的に、人間って、自分の得意なことを他人の不得意なことを比べて、「自分は正当に評価されていない、不幸だ」って文句をいうんですよ。
あぁ、きっと私もそうしてしまっている。
「自分の得意」と「誰かの不得意」を比べて、あの人は・・・私は・・・そんな不毛な話をしてしまっているんだ。
現状をつくりあげるために、たくさんの人が善意と誠実な熱意でやってきたわけでしょう? 誠実にやってきたアウトプットに対して現状否定をすることは、やってはいけないと思うんです。
うまくいかないPJに途中から首をつっこむ時に、知ったかぶりで安易に否定してしまいがちだけど、そこまで真摯に向き合ってきた人たちを忘れちゃいけないんだ。
そこまで関わってくれた人たちに誠実に、敬意を持って取り組まなきゃいけないんだ。
「わたしがもしむかしの時代にいたら、いま任天堂がやっているのと同じような方法を取ったと思うよ。でも、環境が変わったでしょう?周囲が変わったでしょう?僕らが変わらなかったらどうなる?ゆっくり縮小していく道を選ぶ?それとも、もっとたくさんの人が、未来にぼくらのつくったものでよろ混んでくれるようになる道を選ぶ?」
シンプルな問いで、シンプルな本質。
どうしても「今」を切り取って議論しがちだけど、すべては同じ時間という軸の上にある。
**Wiiの開発チームでは、プロジェクトのごく初期の頃から、「Wiiはこういうゲーム機にしたいんだ」という話をものすごくたくさんしていました。だから、「こうありたい」というイメージがかなり共有されていたというのも、プロジェクトがうまく運んだ要因かもしれないですね。
つまり「こうなりたい」というイメージをチームの全員が共有した上で、現実的な問題が起こった時、あるいは起こりそうなときに、誰かが発見して、自然と解決していく。それが理想のかたちなのかもしれません。**
チーム作り、モノづくりで本当に大事にしたい価値観。
これを自分のチームに置きかえた時に、本当にこんなに会話できてるんだっけ?妥協してないんだっけ?ってすごく問いかけることができた言葉。
コミュニケーションが成立しているときって、どちらかが相手の理解と共感を得るために、どこかで上手に妥協をしているはずなんです。
自分が注ぎ込んだ苦労やエネルギーよりも、ご褒美の方が大きいと感じたら、人はそれをやめない。だけど、返ってきたご褒美に対して、見返りが合わないと感じた時に、人は挫折する。
つまり、才能というのは、「ご褒美を見つけられる能力」のことなんじゃないだろうかと。「なしとげること」よりも、「なしとげたことに対して快感を感じられること」が才能じゃないかと思うんですよね。いってみれば、ご褒美を見つけられる、「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人
「ご褒美発見回路」っておもしろい言葉だけど、すごく好き。
高尚なことに才能や成果を結びつけがちだけど、本当はこのくらいわかりやすい言葉でいいのかもしれない。
とても重要なことは、結果的にただただ嫌なことだったわけではなく、自分がやるという覚悟によって、「できなかったことができるようになる」というおもしろさにつながったということです。
わたしが見つけた「天才の定義」があります。
「人が嫌がるかもしれないことや、
人が疲れて続けられないようなことを、延々と続けられる人」
それがわたしは天才だと思うんです。
書き起こしてから2週間くらいあとに見直したけど、あぁ素敵なだな。って改めて思う。
言葉の一つ一つから岩田さんの人柄が伝わってきて、岩田さんの人柄が少しも色褪せないように、そのままの岩田さんが伝わるようにっていう想いがすごく伝わってくる、そんな優しくてあったかい本でした。
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