虹ヶ咲2期7話の考察
EMOTIONについて
・天球儀
上階の栞子から下階の栞子へバトンタッチして心の深みへ入っていくシーン。天球儀を指でなぞり、記憶を思い起こすように目を固く閉じて、体が僅かに前傾します。何か腹を括っているように見えます。そして、天球儀を時が遡る方向に回します。
次に栞子が目を開けた時には、夏服を着て、暗くてジメジメした階段から陽の当たる明るい場所へ移っています。
この夏服ですが、栞子のスクールアイドルへの気持ちが再び芽生え始めた時期が夏だったからだと思います。スクールアイドル部が無いものだと思って虹ヶ咲に入学したら、自分が入学した年にスクールアイドル同好会が設立され、校内新聞で取り上げられたり、他校を巻き込んだイベントすら開催してしまうほど存在感を増していく中で、当然意識してしまうこともあったでしょう。具体的な時期は特定できていませんが、1期のどこかしらのタイミングで、栞子のスクールアイドルをやりたい気持ちが再燃したのだと考えています。止まっていた時が進む方向ばかりに着目しがちですが、実は時が巻き戻ってもいるわけです。
僕は、「最初」と「最後」には深い意味が込められていると読んでしまうタチなので、わざわざMVを締めくくる最後のシーンで夏服を出してきたということは、栞子・ミア・ランジュは夏服で出演する機会がないからという単なるファンサービス以上の理由があると踏んでいます。
また、天球儀とは空であり、スクールアイドルであれば天球儀の内側から空を見上げるのが自然です。(虹ヶ咲における空の定義については以下を参照)
次は、栞子と空の位置関係についてです。
・ステージ
ステージ全体を囲うように鳥籠の形をした骨組みがあり、鳥籠の上部には、太陽・月・星などの、空をイメージさせる要素が並んでいます。
天球儀を外側から眺める行為は、無関係な外部からスクールアイドル(薫子や虹ちゃんたち)を眺めるということです。しかし、最後はちゃんと自分も空を見上げる存在になれている。誰かが輝いている姿を外から眺めるだけの傍観者に過ぎなかった栞子が、スクールアイドルというプレイヤーになることができたということだと解釈しています。
また、このステージの鳥籠は前面が開いているように見えます。
これは、翠いカナリアの衣装と同じです。
決意の光からは蝶、翠いカナリアからは開いた鳥籠と、既存曲を意識したMVになっていると思います。
・跳ねる鍵
鍵が弾かれて水面を跳ねています。
水や海は、応援する者、ステージに立たない者のための居場所なので、水面という境界を越えない=スクールアイドルとしてのポジションを確立するという意味だと思います。
・私服の共通点
EMOTIONの栞子の私服連発シーンについてです。出典は主にスクスタの覚醒前イラストです。
これだけなぜか立ち絵です。
なぜ私服を披露したのか、なぜ連続でいくつも出してきたのかが気になりました。カードの名前に意味があるのかとか、出てきた順番に意味があるのかとか色々考えた結果、デザインに共通点を見出しました。それは全て、胸元に蝶結びのリボンがあることです。薫子の衣装は胸元に蝶結びのリボンがあったことから、栞子の、薫子やスクールアイドルに対する憧れを象徴するものだと推察します。
EMOTION披露前の栞子の私服(4話、5話)にはリボンが付いていませんが、
披露後の私服(10話)には2着とも胸にリボンが付いています。
7話以前の栞子は、リボンのついていない服を着ていました。かつて薫子に対し「私、スクールアイドルじゃないし…」と言ってステージに立つことを拒否したことからも分かるように、スクールアイドルでない自分がスクールアイドルのような振る舞いをしてはいけないという考えを持っています。だから栞子が現実にリボンの付いた服を着ることはないわけです。スクールアイドルではないですから。
栞子にとって蝶とは、幼い頃に薫子のライブを観たという原体験に由来するものであり、スクールアイドル像の雛形を栞子に与えたものでもあります。この意味において蝶は、人と人を繋ぐキャリアであり、想いを伝えるある種のバトンのような役割を持っていると考えられます。愛さんが「ハグ」、りなりーが「手」や「ボード」なのだとすれば、栞子と薫子を繋ぐのは「蝶」なのだと思います。
栞子にとって胸のリボンは、薫子やスクールアイドルに対する憧れ・トキメキを表していて、さらにはそういった服を、脳内の空想に留めず、実際に着れるようになったということは、成りたい自分に成れたということの表れではないでしょうか。スクールアイドルになる夢を叶えた証拠ではないでしょうか。EMOTIONを経た栞子はもう「心(=蝶)を隠したり」しなくて良くなったんです。
・蝶
EMOTIONのMVには度々蝶が登場しますが、なぜ蝶なのかについて「決意の光からの引用」以外の理由を改めて考えました(こじつけ気味ですが)。
① 昆虫のはねは「羽」ではなく「翅」。「支」という字が付け加わっており、支えるという関係性にフォーカスする回だった7話にマッチしている
② 蝶は「飛ぶ」以外に「舞う」という表現があり、日本舞踊を連想させる。
③ 蝶の異名は夢見鳥。7話サブタイは「夢の記憶」
幼少期の栞子の服色の変化
幼少期の栞子の服は2回登場します。デザインは変わらず、色だけが変化します。最初は黒で、後に薫子の衣装の色と同じ色(便宜的に翡翠色と形容する)に変わります。
黒という色は、侑を見ればわかるように、支える側を表す色なので、この時の栞子は単純に薫子に魅了され、応援するだけの存在だったということです。
やがてそのトキメキは、自分もスクールアイドルをやってみたいという気持ちに変わっていき、その気持ちの表れとして、姉の衣装を模倣した色に変わっていきます(薫子と一緒に練習していたシーンもありましたね)。
黒はすべての光を吸収する色、つまりすべての輝きの根源です。あらゆる可能性を秘めた状態です。生まれたトキメキを元に、表現したいものや自分の色を見つけていく。そうした過程を踏んだからこそ、黒から翡翠色へと変わっていったのだと思います。
薫子か?栞子か?
栞子が同好会のみんなに説得を受けて、ステージ上を見遣るシーン。
最初はこのステージに立つ人物を薫子だと思っていましたが、よく見たらソックス履いてなくね?と思い至り、「ステージに立つ自分を想像している説」をぶち上げました(薫子の衣装にはソックスがあるので)。自分がステージに立ってるのを想像しているからこそ、ステージ側からの視点になったのではないでしょうか。そこで薫子が泣いてる姿がフラッシュバックして、その妄想を打ち消してしまいますが、薫子を見ていたのは客席の方からなので、今度は客席からの視点に切り替わります。
さらにこの際、栞子が想像していたのはEMOTIONの衣装を着た自分の姿なのではと考えました。ソックスを履いていないので。
反論:ぎりぎりソックスやスカートが映っていないだけではないか?
疑問点
・僕らが薫子を紫苑出身だと見抜けなかったのは、歴代の紫音の衣装が紫色を基調としたものであるにもかかわらず、薫子の代だけが白と翡翠色の二色から成る衣装だったからであるが、薫子たちがそのデザインを選んだのはなぜか? 薫子が蝶や翡翠色を選択したのはなぜか?
これについても追々結論を出して書き足していこうと思います。
最後に
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