イージーライダー

小説を読んでると、この映画よく出てくるなぁ、というのがある.その中の一つがこの「イージーライダー」.ヒッピーの文化が流行した時代のアメリカが舞台で、物語という物語があるわけではなく、ただただ二人の男がタイトル通りアメリカをバイクで気楽に旅をしていくという映画.

ヒッピーという言葉を知ったのは大学生の頃で、「かもめのジョナサン」という本を読んだときにその解説で「ヒッピーの人々の間で熱狂的に愛読された」解説があり、ヒッピーとは?で検索したのが始まりだった.大きな目標もなく毎日を淡々と過ごし、昨日と今日の境目すら曖昧な日々.この行さっき読んだぞ?同じ行を間違えて読んでしまう、気持の入らない読書をしているような生活、大学はずっとそんな感じで、いまなおその延長線上を進んでいるような気さえする.

ヒッピー.「勉強する奴は資本主義の手下だ」村上龍の言葉.資本主義と勉学の何が関係しているのか、最初はよくわからなかった.最近また同じ言葉に出会ってよく意味が分かった.生産性の高い情報をインプットして出荷される準備をする、学校生活.勉強すればするほど社会の中では優位に立てる.貧富の差や、言葉だけ知ってる、でも細かな具体例や実際に当事者の感情なんて知る由もないし知ったこところで何かを思うこともない弱者の苦しみを考えないで済むエリート群になれる.しかし実際は、因数分解や極値のx座標を求めるのが速いだけで、根っこは「あなたへのおすすめ」ですべて構成される.今日は自習室に5時間いたぞ!

ヒッピー.彼らの価値観は資本主義からの脱却がテーマだろう.順序通りに就職・結婚・労働・親孝行・育児、本当にすべて人間の求める行動なのか.立場も宗教も人種もない、好きなものを好きなだけ食う食う食う.何がビタミンCだ、ファッキンニート.結婚もしない、パートナーが老いれば次を次を次を.一夫一婦制は動物の本能に反するとはあらゆる作家が豪語する、本能のまま動き、求めた先に射精がある、それは意図したものではなく体の反応だ.言葉があるから倫理が生まれるんだ.

今よりももっと多感でニキビが沢山あった大学時代の僕は、うまくいかない日常、周囲への羨望のはけ口としてヒッピーの精神を心に宿した.鶴舞公園昼休み誰もいない400メートル陸上競技場の第3コーナーのベンチで独りパンを喰うパンを喰うパンを喰う.

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教科書には意味のある言葉しか乗ってない.すべてに注意を払い、一足として踏み外すな18歳

全てに意味を求める人間は自らが理解できるものしか認識できない.
目の前に宇宙人が下りてきて、未来の機関銃を左脇に抱え、つま先についてる口蓋に関東風の白味噌汁を飲ませていて、あれ?靴下、左右でちがくない?ってなった時、教科書を枕元に一流企業を目指した青年は白目向いて膝から崩れ落ちる.

意味なんてない、さいこうの映画って体が言ったぜぇぇ
★5.1

イージーライダー

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