2021年を振り返って(年末のご挨拶にかえて)
変化への対応力に差が開いた1年
昨年に引き続き、世界は新型コロナウィルス感染症の脅威と向き合いながら1年を過ごしてきました。感染拡大からおよそ2年が経過しようとしている中、どのくらいのスピードや工夫で新しい習慣にシフトしてきたか。個人でも企業でも、やや差が開いたのが2021年という年だったのではないでしょうか。
小康状態になった途端、リモートワークが中断した企業や、オンラインで場を開く経験を積めないまま、人が集まる機会を逸して、やりたかった取り組みに遅れが出てしまった団体などの声も幾度か耳にしました。
感染症が終息すれば何事も元通りになる。果たして本当にそうでしょうか。
習慣を変える難しさ
外出が制限される中、オンラインやデジタル化の便利さを十二分に体験できた人も多かったのではないでしょうか。また、それらを活かしたサービスを生み、事業を伸ばした企業も多いことでしょう。
一度掴んだ便利さは、なかなか手放せるものではありません。オンラインの活用、デジタル化の推進は加速こそすれ、使わない手段に戻ることはおそらくないでしょう。逆行すればするほど、人は関心を向けてくれなくなってしまうかもしれません。
しかし、一足飛びにオンライン、デジタルの世界に踏み出せない人々が多いのも事実です。デジタル庁が立ち上がった一方、国の省庁においても、まだまだアナログな仕事ぶりが目立っているし、企業や個人もまた然りでしょう。
私たちが習慣と呼ぶものは、その大半が、自らが生まれたあとに身に着けた行動パターンに過ぎません。それを変えるかどうかは、意思の問題が大きく、その意思も、危機感が強くなったときにしか発動しにくい。
2021年は、人や組織が持つ変化を避ける意識の強さも改めて実感された1年だったのではないでしょうか。
先延ばし体質からのリハビリを
日本の社会は、先延ばしを選択するのが得意だという見方があります。あらゆる問題を先送りにして、対症療法を続けることでしのぎ切る。最近では、先延ばしにするクセは、前の世代から受け継ぐ遺伝子の影響が多いという説もあるようです。「先延ばし体質」とでも言えばいいでしょうか。
先延ばし体質に浸かっていると、変化への判断力の訓練ができていないので、いざというときに道を誤りがちです。今年で開戦80年を迎えた太平洋戦争などもその典型でしょう。社会の閉塞を先延ばしが限界に達したのち、不用意かつ一気呵成に状況を動かしてしまった結果、大きな惨禍を招いたのは歴史が示すとおりです。
先延ばし体質は、ゆでガエル現象などと呼ばれる話にも共有する話です。危機が大きくなりすぎないうちに、小さく変化を重ねていく。大がかりな体質改善ができなくとも、そうした“リハビリ”を、私たちはいまのうちに進めていくべきではないでしょうか。
変化への歩みを止めない
エイチタスの2021年は、前年に比べ新規の企業様からのお引き合いが強い1年となりました。市場が守勢にまわると、どの企業も新しい動きに予算を割くことを控えるので、弊社のような会社には仕事が回ってこなくなり、2020年はそんな1年でした。2021年はその反動もあったのか、例年よりもお問い合わせが多かったように感じています。
新規事業を考えたい、採用活動で新しい手法を試したい、若手社員にスタートアップ型のアプローチを学ばせたいetc.お問い合わせをいただいたどの企業様も、自社にとって新しいチャレンジをしたいという意欲を強く感じました。
また、行政案件においても、昨年度の福島県「ふくしまベンチャーアワード」に続き、郡山市「こおりやまSDGsアクセラレータープログラム」、鹿児島県「鹿児島県ビジネスプランコンテスト」など、地域の起業家の育成・支援に関する事業を多くお任せいただいています。それぞれ、前年度以上に多くの人たちが起業家としてエントリーをし、各事業あわせて150件以上のビジネスプランを拝見する機会に恵まれました。
5年目に突入した復興庁のFw:東北の事業では、弊社がプライムに立つ形でバトンを握り、東北や全国で新しいアクションを積み重ねている人たちとの交流機会を増やしてまいりました。
コロナ禍と言われる状況の中でも、多くの挑戦が芽生え続けていることは、未来に向けてひとつの光明となることでしょう。エイチタスも、新たな歩みを進めるお客様へより一層の貢献がかなうよう、次の社会に適合していくための変化を重ねていきます。
今年も多くのみなさまにご贔屓をいたきましたこと、厚く御礼申し上げるとともに、来年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。