『Love Affair('89.09.09)』について語り尽くす

タイトル通り。
私にとってCHAGE&ASKAとの出会いの曲でもある『Love Affair』について書く。

ただただ楽曲そのものの良さを語るのではない。'89.09.09に郡山市民文化センターで公演されたライブテイクの好きなポイントを余すところなく網羅するのが今回の趣旨だ。自己満足3割、備忘録3割、「そうそう、その通り、そこが堪らない……!」という共感をあわよくば得たいという目論見が4割の記事となっている。最後までお付き合いいただきたい。

では早速!

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0:00
[イントロ]
観客の盛大な歓声・拍手に威勢の良い叫び声(誰だろう……)が重なり一気に気持ちが昂まる。スコーンと抜けてくるドラムのスネア2発と、パキッとした(シンセによる)ブラスサウンドが何とも気持ち良い。高揚感に包まれる幕開け。

0:11
♪ドキドキは恋のシンクロ信号
身体の重心を前に置きながら分かりやすく拍をとりリズムにのるASKA。一方、あまり動きを見せずマイクに片手を掛けてさらっと歌うCHAGE。ビジュアル的な対比が良い。

0:18
♪抱きたくて 君を抱きたくて
「君を抱きたくて」の後、ブレスのタイミングでマイクから顔を背ける動きが2人でシンクロ。
『僕はこの瞳で嘘をつく』のサビなどでもみられるような2人のブレスのシンクロ具合が好き。ああいうのはショーとして魅せるための意図的な部分と、慣れで互いの呼吸が揃うことによる自然発生的な部分のどちらに由来するのだろう。どちらもか……?

0:22
♪待ち合わせ決めた ダンスのスロータイム
スロータイッ が歯切れ良い。スタジオ盤のアダルティなスロータ〜イムとは違ってこれもまた趣がある。

0:35
♪さよならの後で
ここの少年のような張った声質でありながらも艶のあるCHAGEの高音ハモリに惚れ惚れ。一瞬だけ映されるCHAGEの真剣な顔つきと何気なくマイクに手を掛ける仕草も素敵。

0:42
♪裏切りなさいDarling 街をすりぬけて
コーラスを歌いながらちょいちょいとASKAを指さすCHAGEと、それに応えるようにステップを踏むASKA。このかっこよくも微笑ましいやりとりは大抵のテイクで観られるものだが、残念ながら片方だけがアップで抜かれていることがままある。しかし当テイクでは、ここは引きで2人を映してこそ完成される画だということを熟知した(?)カメラワークになっている。拍手。

0:46
♪誰も知らないLove affair
「Love affair」の頭拍でASKAが天を指差し足を軽く開くのだが、その一瞬の身体全体のAラインが綺麗。ちなみに隣ではCHAGEが横を向いて背中を丸め両腕を大きく振っており、どことなくコミカルな動きが若干シュール。

0:58
♪君の中の女
6連符で細かく刻まれるハイハットに驚嘆。スタジオ盤にはないパフォーマンスである。とんでも激速テイクであるにもかかわらず軽々と正確に叩きのけており思わず耳が奪われる。

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ひと休憩……やっと1番が終わった。
ところで「(手に触)れた時感じた」の「F G A♭B♭C♭D♭E♭F(Bdim)」このスケールが翳りを湛えた美しさがあって非常にぐっとくるのだが、これはポップスに珍しいものなのか、それともよく見られるものなのか……個人的にはあまり聴いたことがないように思うものの。詳しい方、是非教えてほしい。

では次、2番へ突入。

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1:20
♪蒼い月 波に漂って
ASKA「漂って⤵︎」と落ちるのがツボ。そういえば、今回取り上げたLove Affairと私の中で双璧をなすほど完璧なテイクのHOTEL(同公演('89.09.09)のもの。円盤化してほしい限り)でも「"愛してる?"って聞かないで」「沈みなさい はぐれなさい」において同様に段階的に音程を落とすのだが、その余裕たっぷりの色気は特筆に値する。これは完全な余談。

1:24
♪見つめれば また流れ出すチークソング
チークソンッ ここもまたスタジオ盤の「チークソ〜ング」とは違ったニュアンスが生まれていて良い。しかしこの緊張感と疾走感でひりついたライブテイクに耳が馴れてしまうとスタジオテイクがやけにまったり聞こえてしまう……いえいえスタジオ盤にはスタジオ盤の良さがあります。

1:28
♪成り行きの後はシルエット
一瞬たりとも気を抜けないようなこのヒリヒリとした空気感の中でふと見せるASKAのほころんだ口元がハイライト。う〜〜ん良い。トキメキMAX。……え、そうですよね?

1:44
♪急いでみようDarling はねる指先に
1番に同じく……いや更に良い。戯けたようにASKAを指さすCHAGEと、「はいはいわかってるよ」とでも言いたげな表情と手つきで軽やかにステップを踏むASKA。この数秒に2人の関係性がストーリーとして透けて見える気がする。特に1:46あたりでお互いの顔を見合うのが激アツ。

1:49
♪誰も知らないLove affair
サビに入ると同時にバックからの引きのカットになるのが憎い。天さすASKAと横向きCHAGEの図は1番と同様。

2:02
♪君の中の女
"女"の後のYeah Yeah Yeah……の部分、CHAGEは上に突き上げた腕をおろし身体の重心を後ろに移して指を自分自身に向けるのに対して、ASKAは観客に向けて手を掲げて拍を出す。ここでCHAGE→ASKAとカメラワークがパッと切り替わることで対となっている両者の動きを際立たせつつバトンタッチしたかのような流れになっており、映像として良く出来ている。偶然にしても。

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ここで2番終わり。
この'89前後のASKAの顔つきとCHAGEのしなやかさ、改めて良い。しみじみ。

さあ間奏へ!

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2:06
[間奏]
ダバダバ……(※間奏直前のスキャット)
ASKAはTripのようなフレーズの美しさで魅せるスキャットも秀逸だが、このような発音そのものの面白さに焦点を当てた「効果音的なスキャット」も巧い。

「C B♭A A♭G F F♯G|C D E♭G F E♭B♭B」と動くベースも耳に残る。スタジオ盤の男性コーラスの感じをイメージしたのかクラビネットらしき音色が採用されているが、確かにこの独特な音色は特徴的なベースラインによく合う。そこに煌びやかな(シンセによる)ブラスが乗り、全体として立体的で厚みのあるサウンドとなっている。豪勢な間奏。

ここはスタジオ盤では派手さを抑えてムーディに仕上げていたり、ライブによってはピアノソロを披露していたりと自由度の高いシーンであるが、私はウォーキングベースを前面に出しつつブラスを最大限に活かしたこのアレンジが一番好みである。

ここでもノリノリでステップを踏む2人。思わずニッコリしてしまう。

2:19
♪スキャンダラスな夜をまたいだ
右斜め下からあおるカメラワークが新鮮だが、Dメロの「曲の転換点」という位置付けを踏まえるとかなりしっくりくる。
腰で左右に拍をとるASKAと、頭で上下に拍をとるCHAGE。ここの対比も良い。

2:23
♪見事なMidnight
「Midnight」で掌を上に向け天をチラリと仰ぐASKA。こういう何気ない仕草がいちいち様になる男、ASKA。

2:28
♪スキャンダラスな夜をまたいだ
「夜をまたいだ」の少し抑えたCHAGEの歌い方がセクシー。前後のASKAの太く強い歌声とのコントラストが効いている。

2:38
♪誰も知らないLove affair
「誰も知らない(ウィスパー)」キャー!「Love affair(眩しい笑顔)」キャー!キャー!破壊力!

2:46
♪手に触れた時感じた
肩をキュッと上げて両手を広げるASKA。いやあ本当にこういう何気ない仕草が(略

2:59
♪聞きたがる愛の台詞
拳の動きとリンクするかのように熱の高まっていく歌声が最高。最高です。

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書き切った〜〜

それにしても……
「聞きたがる愛の台詞 君の中の女」これは後世にまで語り継ぐべき歌詞だと思う。不倫がテーマであることをうっかり失念してしまいそうなほど、どこまでも優美で後味が悪くない。なのに官能的な香りは濃厚。言葉の紡ぎ方が秀逸すぎる。