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CO2-石油&天然ガス:炭化水素(HCs)Cycle  カーボンサイクルテクノロジー(1)

私たち人類は、地球太古に豊富に大気中に存在した二酸化炭素を起源とする化石資源(黒い石=石炭)を主要なエネルギーとして利用し、さらにまた二酸化炭素を起源とする鉱物資源(白い石=石灰岩)を主要な建造マテリアル(セメント)として利用して、近代文明を構築してきた。その結果として大気中に大量の二酸化炭素を放出し続けている。二酸化炭素を厄介者とするのではなく、循環利用する智慧と技が求められている。それをここでは、「カーボンサイクルテクノロジー」と呼ぶことにする。

カーボンサイクルテクノロジーと残りの人生を真摯に向き合って研究するため、都会を後にし、飛騨高山に3年前に移り住んだ。人生の最終ゴールは、単に科学技術を探求するのではなく、社会実装することによって、地方に産業や雇用を創出することであると、半ば強引に我儘に決めたことは反省している。(家族には多大な迷惑をかけた。。。)この背景には、都会で満員電車に揺られて漫然と日々を過ごすことに耐えられない想いが募り、自らが社会の一員としての役割を果たしているのかに疑問に感じていたことがある。社会問題の解決に向かって、自らも生き甲斐を感じて元気に暮らしたいという強い思いがあった(飛騨高山カーボンサイクル秘話も合わせて読んでみてください)。

さて、前置きが長くなったが、未来のエネルギーやマテリアルを持続可能なものとするために、化石資源エネルギーではなく、太陽光に起源する光や運動(風力や波力)エネルギー、はたまた地熱エネルギーに代替していかなければならない。それまでの間、繋ぎとして化石資源に依存するのは仕方がなく、石油や天然ガス(炭化水素HydroCarbons、HCsと略)がエネルギーの主役となることは承知している。ところが、これらは石炭や鉱物のように纏まって存在するのではなく、岩盤の隙間など広く薄く面的に存在するため、かき集めてくるのにエネルギーがますます必要となる。「採集されるエネルギー」 < 「採掘に要するエネルギー」 となっては、意味を為さないことが見えてきている。ここでも、二酸化炭素の利用が考えられているのをご存知だろうか?

黒い石=石炭と白い石=石灰岩に封じ込められていた太古の地球の二酸化炭素が、火力発電所とセメント工場で解き放たれ、大気中に戻ろうとするところを捕まえるカーボンキャプチャーという技術がある。捕まえたCO2は回収して地中深く貯留しておこうとする(カーボンキャプチャー&ストーレージCCS)。もしCO2を圧入する力で石油や天然ガスを追い出すことができれば、まさしく二酸化炭素のドラスティックな循環ループが出来上がるというわけだ。北米では古い油田で実用化されており、日本でも苫小牧などで実証実験が行われているそうである。これをここでは、CO2-炭化水素(HCs)サイクルと呼び、社会実装されることを心待ちしている。

ただ私の役割は別の課題にあり、それについては明日以降に書いてみたい。



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