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セルロースの稼ぎ頭 ユーカリ

冒頭タイトル、果たして地球上で最もたくさんセルロースを作っている植物種は何だろうか?調べてみた。

地球のカーボンサイクル(イメージ)

地球全体の炭素固定(光合成)量は、陸上植物が120Gt/年、海藻類が90Gt/年である。陸上植物バイオマスに550Gt、海洋バイオマスに1000Gt、森林等の土壌に2300Gt、海洋に37000Gtの炭素が貯留されている。石炭(黒い石)と石灰岩(白い石)への埋蔵炭素量はそれぞれ10000Gtと6000Gtである。

世界の森林面積40億3千万ヘクタール、その約5%弱が植林地である。2010年には植林面積1億8千7百万ヘクタールに達し、年率4.3%で拡大している。

植林地の23%がユーカリである。すでに4千3百万ヘクタールあり、年間450万ヘクタールが植林されている。これを世界の年間穀物栽培面積6億9千万ヘクタールや、熱帯雨林面積17億ヘクタール、ロシアやカナダの森林面積それぞれ5.3億や3.5億ヘクタールと比較すると、大したインパクトには無い様に見える。
しかしながら、ユーカリの驚異的な成長量に容積重と拡大係数(幹以外の枝葉や皮や根のバイオマス)及びセルロース割合を乗じると、年間のセルロース生産量は180Mtと算定された。これは、小麦のセルロース生産量82Mt、シベリアカラマツの64Mtを2倍以上と凌ぎ、見事単一植物種としてセルロースの稼ぎ頭に輝いたのである。

ユーカリの驚異的な成長


世界のどこかで今日もユーカリの種子が蒔かれ、苗が育てられ、地元の住民の手によって植えられ、大きく成長している。それらは、奥地の手付かずの森林ではなく、住居地や農地と隣接する持続可能で再生可能な森林である。
伐採され、チップにされ、トラック、貨車、船で運ばれ、パルプ工場で紙の原材料に加工されている。

ユーカリの苗を育てる
ユーカリの苗を植える


農地との共生したユーカリ植林地
ユーカリはティッシュペーパーの原材料(パルプ工場)

成長量を上げるために育種され、環境ストレスの厳しい未利用地を有効活用して森林再生が図られている。乾燥塩害地の植林による農地の再生にも有効だ。

長年ユーカリの研究を行なってきた。
成長が早い なぜ? 環境適応できる なぜ? ストレスに強い なぜ? 山火事に強い なぜ? 木材乾燥し難い なぜ?これらの疑問に応えるため、次回からユーカリのここが凄い‼︎  8連発を紹介したいと思う。





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