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ストレスに強くなりましょ CO2-木質バイオマスCycle カーボンサイクルテクノロジー(13)

早生樹の苗を環境不良地に大規模植林して、大気中の二酸化炭素を木質バイオマスに変換する取り組みを行ってきた。植林される苗は、雨の量が少なくても先ずは活着させなければSTORYは始まらない。そのためにはShoot-Root比(Top/Root比)を小さくすることが大切であった。根の量を増やすのである。

植物ホルモンであるジベレリン(GA)は細胞分裂を活性化する作用を有する。そのため、芽は伸長し、葉は拡大する。これ自体成長には大切なことだが、苗作りの間はできるだけ地上部を小さく、地下部(根)を大きくすることで活着し易い苗となる。GAの生合成はP450に属する酸化酵素によって進められる。このP450の阻害活性を有するパクロブトラゾールやウニコナゾール-Pという植物矮小化剤で処理した苗は、地上部の生育が抑制されて根が伸長する。植林された後に根が水分と養分を吸って大きくなるという仕掛けだ。

実はP450阻害剤は、葉が小さくなって単位面積当たりの光合成活性が向上することや蒸散を抑えることで、寒さ、暑さ、塩、など様々なストレス耐性を同時に付与することを見出した。どうやらストレス耐性に関わるアブシジン酸(ABA)の代謝を抑え、ABAを増強するらしい。まさに理想的なストレス耐性付与材でもあった。

植物が潜在的に有する力を最大限活用する技術を知ることによって、合自然的な方法で大気中に増え続ける二酸化炭素を、樹木に森林土壌に固定するサイクルを回すことができる。私は、地球が本来自浄的に行う生命力ともいうべきカーボンサイクルによって、地球温暖化を防止し、地球環境を改善したいと思っている。

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