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PCR、PCRってうるせーな。PCR検査の精度が高いなら、世界の新規感染者数がこんなことにはなるはずないことを、数理モデルのグラフで説明を試みる件。

最近、個人的にはワイドショー的なものはあまり見なくなっているのですが、時々チャンネルがあってしまうと、相変わらず「日本のPCR検査体制は云々」ということを延々とやっていて、いい加減うるせーな、と感じるわけです。

理工系の大学を出た人であれば、1年生の実験の時から、目に見えないものを測定する場合に、測定器具や検査方法の精度というのはどのくらいのものかを意識するように教育されるのですが、一般にはその感覚はないんでしょうね。世の中に、そんなにビシバシ当たる精度の検査があるわけないんですよ。

そこで、何とかわかりやすい説明方法がないかを考えてみます。

どこかの国でコロナウィルス感染者が増えてきたため、あるタイミングで希望者全員が一斉に検査を受けられるようになったとします。検査キットも十分整えた前提です。

PCR検査が100%コロナウィルスに感染した人を検出でき、陽性の人を全員隔離できたとしたらどうなるでしょう?新規感染者の日ごとの推移をグラフにしたらこうなります。

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検査した翌日には市中に感染者がいなくなりますから、それ以後の新規感染者は一瞬でゼロになります。

神奈川県の医師会は「高々70%程度」と言っていますが、そんなに精度が高くて、毎日感染者の7割を捕まえて隔離できたとしてこんな感じです。

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世界のどこかの国に、「PCR検査体制を整えただけ」で、こんな形で新型コロナウィルスの新規感染者を収束させた国がありますか?どこにもないんですよ。

アメリカ、イギリス、スペインなどの抗体検査の結果、検査での感染確定者の10倍以上の感染者がいたことが判明しています。つまり、感染爆発して検査体制を整えた国でも、検査では感染者の10%程度くらいしか隔離できてないんですよ。だから指数増加での感染拡大が止まらないんです。

一応、「1割しか検出できない場合」のグラフにしてみますね。縦軸の目盛りの数字が全然違うことにも注意してください。

1割

このように、「どこで検査を始めたかも分からない」ような感染者数増加のグラフになるわけです。これが現実の世界で起こっていることです。

検査体制を整えても、整えても、それだけでは感染者の適切な隔離ができず、指数増加的な感染拡大が止まらないんです。だから、世界中のほぼすべての国で、止めたくない経済を止めて、ロックダウンとか行動制限、自粛をせざるを得なくなっているわけです。それしか、感染者数の増加を抑える手段がないんです。

「PCR検査の結果に頼らず、CTの画像検査、患者さんの症状の聞き取りなどで総合的に判断して、健康観察期間を設けて行動を制限してもらう」、という日本の専門家の判断がいかに適切なやり方かということが分かるでしょう。強制でもないのに、それに規律正しく従う日本国民もすごいですが。

PCR検査は、コロナウィルスに感染していることを確定させ、その後の治療に役立てることには役には立つと思いますが、陽性になるまで悪化しちゃった人の場合は、他の先進国と死亡率は有意差はほぼないです。

主にワイドショーによって、いまだにPCR検査が感染拡大防止のための神器のように繰り返し放送されていることに恐怖すら感じるようになってきました。

今後、日本でもPCR検査や抗原検査の検査体制が整うことによって、マスコミに刷り込まれた間違った認識によって、「新しい行動様式での生活」や「自粛」を全くしない人が増えてしまったら、結局最後に感染爆発が起こってしまうのは、日本かもしれません。

なんとかならないんでしょうか?

コロナでろくに仕事もできないので、暇つぶしに数理モデルで今回のコロナウィルスの動向を分析しています。