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二者択一をしないということ

こんにちは。RoomClipの高橋です。

二者択一というのは、二つの選択肢のうちのどちらか一方を選ぶ、ということです。これだけだとなんのこっちゃというところかもしれませんが、RoomClipでもこれまで「ユーザー体験か収益か」「投稿ユーザーか閲覧ユーザーか」のように、一見相反しそうな2つのものがあったときに、それらのうちのどちらかを取るか、という話がよくありました。

自分の立場上、普段経営やらプロダクト開発やらで意思決定をする場面はそれなりに多いのですが、これまでやってきて、そういう二者択一の考え方では結果うまくいかないんではないかと思うようになったので、今回はそのあたりについて書こうと思います。

元々

とはいえ、実は自分は元々すごく二者択一的な考え方をする人間でした。

そうなったきっかけとしては、高校や大学のとき、当時よく見られた(?)近代 vs 脱近代 とか、リベラル vs なんちゃら とか、そういう二項対立的な世界観や言説に影響を受けた部分が大きかったように思います。

そこではやはりA or B の世界観で議論や主張がされていることが多く、自分自身、人の言わんとすることを理解しようとするとき、また自分で何かを言うときは、そこに基づかねばならないという観念に囚われておりました。

創業当初

RoomClipを創業した当初段階においても、まだそういったA or Bの世界観を引きずっている部分はありました。

当時の自分はとにかく早くサービスを成長させたい。そのためにAかBかを早く決めて少しでも早く実行しなければ、という思いに強く囚われていたように思います(もちろん早く決めて早く実行する、というのは今でも大事なことなのですが)。

代表の高重やCTOの平山と、当時オフィスのあった天王洲アイルの喫煙所で雑談するときにも、「なぜそんなに二者択一的な考え方になってしまうのか?」とよく言われていました。

当時のオフィス近辺にあった喫煙所

なぜそこから変わったか?

ビジョナリーカンパニー

自分の場合、事業を始めてからしばらくの間はエンジニアとしてプロダクトの開発をしておりましたが、ステージが進んで会社の人数も増えてきたりした段階で、「経営とはなんぞや」というようなことをインプットする必要が出てきました。

その中で読んだ「ビジョナリーカンパニー」という本で、経営者に必要なのはORではなくANDの思考だ、ということが書かれており、そこで改めて二者択一についての是非を意識し始めました。

とはいえこの時点ではまだ本で読んだというだけだったので、身体化するまでには至らず、「🤔」な感じではありました。

プロダクトだけでなくセールス文脈も見るようになった

その後しばらくはそんな感じだったんですが、それがまた変わってきたのは、自分が担当しているプロダクト領域だけではなく(当初は恥ずかしながら、開発やプロダクト施策に時間を取られていて、他の分野をあまり深く見れていませんでした)、他のチーム、特にセールスの文脈もより深く見るようになったことが大きかったように思います。

その結果、単純な A or Bの世界、例えばユーザー体験と収益をトレードオフにする価値観では事業は回せないということがわかってきました。

収益だけを追求しすぎるとユーザー体験を毀損する部分が出てくるというのはもちろん、逆にユーザー体験だけ追求しても、収益がなければより良いユーザー体験を提供するための事業基盤を築くことができない。ユーザーもクライアント企業も、そして我々も、そのすべてが同時に共存できる形でなければならない。そういう認識が強まっていきました。

両方を取る

いまはAかBかの二者択一ではなく、AとBの両取りを目指すという考えで、事業に向き合おうとしています。もちろんAとBの両方を取るというのは、言うは易しですが、実際は様々な困難を伴います。

しかしその困難さや複雑さを引き受けること。一見相反しそうな2つを同時に成り立たしめるギリギリのラインを、思いつく限りのパターンを考えながら見出していくこと。それこそがサービスとして、事業として成長していくために必要なことではないかと思っています。

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