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Paynter Jacket : Batch No.7 (Bill's Blue)

今回は、イギリス East London にて起業、クラウド・ファンディング Kickstarter でローンチし2019年よりワークジャケット(チョアコート)を製作している Paynter Jacket Co. の第七弾(Batch No.7)ジャケット『Men's Batch No.7 - Bill's Blue (size XS)』を購入したのでご紹介。
(手元に届いたのは少し前なのですが、執筆に時間を要してしまい)

第七弾と書いたのは、この Paynter Jacket は製作ロット単位での受注生産方式を取っていて、2019年に1回目(Batch No.1)のオーダーロット受付で始まり、2021年5月に通算7回目のオーダー受付があったことを意味しています。
(都度、生地やデザイン、カラー・バリエーションが異なっていて常に同じものを製作しているわけではありませんが、いずれも全てワークジャケットというのは変わりません)

過去のジャケットは(全てではありませんが)こちらのアーカイブから参照することができます。第一弾は2019年5月、4色(Navy, Olive, Black, Bill's Blue)の展開だったようで全300着が14分で売り切れたそうな。モノはこんな感じです。

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第二弾は2019年10月、4色(Navy, Ecru, Olive, Dusty Pink) 全300着、これはわずか3分で完売。今では年に3回の受注販売を行っているとあります。

私がこの Paynter Jacket を知ったのは instagram で、3回目オーダーのとき。その時に「次回申し込んでみようかな」と思ったものの、4回目は生地がコーデュロイで個人的にこの生地があまり好きではないので見送り。その後5回目を狙おうとしたのですが、受注開始からわずか19分で完売してしまい、気が付けば既に終了という事態。その時に今更ながらふと気付いてウィークリー・ニュースレターに登録。

番外編の白Tシャツ(The Six Mile Tee との名称、45ユーロ)があり、250 gsm (= 7oz) のヘヴィー・オンスで肉厚Tシャツ・フェチの私の心が揺れ動きましたが、送料が割に合わないと思い踏みとどまりました。

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そして今年3月26日ついに7回目(5月オーダー開始)の先行予約 案内メールが来ました。生地が第二弾と同様のモールスキンとのことで、フレンチ・ワークジャケットが欲しかったこともあり早速のエントリー!!
(前々からフランス Le Mont St Michel の GENUINE WORK JACKET が欲しかったんだけど、Paynter の方が 40ユーロ 安いし今後いつ買えるかも判らないとの思いでこちらを選択)

今回の Batch No.7 はカラー5色(Olive Green, Navy, Tan, Black, Bill's Blue)の展開で、全750着、価格は 185ユーロ (日本円 約25,000円) で、先行予約では 75ユーロ (約10,000円) をデポジットとして支払うことになりました。
キャンセルしても保証金が返ってこないというデメリットがありますが、1回あたりの支払金額が少ないというのはメリットとも考えられますね。尚、この最初のプリ・オーダーの時点では、サイズ及びカラーの指定はありませんでした。どの色にするか悩む時間があるのも素敵。

4月21日プリ・オーダーに対する確定指示の案内メールあり。このタイミングでサイズとカラーを指定。大好きな Navy にするか、爽やかな Bill's Blue にするか最後まで悩みましたが、最終的にフレンチ・ワークジャケットの王道フレンチ・ブルーに通じる Bill's Blue を選択(サイズは XS)。

ちなみに送料 30ユーロ (約4,000円) をシッカリ取られた上に、日本に到着してから輸入関税消費税 2,800円 (輸入関税 900円 + 立替納税手数料 1,100円 + 輸入消費税 800円) も取られました。。。この輸入関税ってどういう時に取られるのかよく理解してません。マジメに勉強しないとな。。。

配送はDHL、以下に貨物追跡情報を記載しときます(主要ポイントのみ)。
  8/06 ドックランズ(ロンドン) --> イースト・ミッドランズ
  8/07 ドイツ ライプツィヒ --> 香港 --> 8/08 香港
  8/09 日本 --> 8/10 自宅着 

この Paynter Jacket Co. は番外の白Tシャツを除くと全回ワークジャケットで、今後の商品展開は判りませんが、少なくとも現時点ではワークジャケット専門のクラフト・ブランドということになります。

アーカイブを見ると判りますが毎回全く同じものを製作しているものではなく、かといって大きく変化しているものでもないので、3着・4着と購入するリピーターは少ないように思います。年間で数千着程度の生産を継続し年商1〜2億円のビジネス規模を大きく伸長させるつもりがないのであれば、これはこれでアリなのでしょう。今後のビジネス展開をどのように考えているのか興味あります。

それでは着こなしイメージを。

と思って探したのですが、モールスキンの Bill's Blue が見当たらなかったので Batch No.3.5 (おそらくコットンツイル)の同色ショットを紹介。生地が違うので実際にどの程度ニュアンスの差異が出てくるか気になるところではありますが。いつものごとく Paynter Jacket の instagram より抜粋。

(左) 白いオックスフォード・ボタンダウンに色落ちし過ぎてない濃紺スリム・ジーンズ、足元はホワイト・レザー・スニカー。まさに私のイメージ通りのシンプルで爽やかないで立ち。中の薄手のニットは黒ですがシルバーグレーでも良いかなと。
(右) こちらも同じっちゃぁ同じなのですが、ラフに白Tの上からサッと羽織る感じが素敵。ザ・ワークジャケットなり。襟を立てて着るのもイイよね。

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インナーに杢グレーのパーカーもド定番な組み合わせですね。真っ白のパーカーでも素敵だし、Gジャンでも絶対にカッコイイはず。

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(左) もちろん女の子が着てもカワイイ。インナーにボーダーのバスクシャツなぞ着たら鉄板ですな。
(右) こちらはちょっと上級編。Barbour っぽいオリーブ・グリーンのワックスド・コートの下に着用。襟や袖口にブルーの色が覗いてるのが流石。

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ちなみに4月21日の確定オーダー以降は、およそ1週間毎にメールが送られてきて作業進捗レポートがありました。全購入者への一斉配信なのでそれほど手が込んでいる訳ではありませんが、飽きさせないよう工夫しているところがマス・プロダクション・メーカーとの違いでしょうか。

メールの見出しを拾うとこんな感じです。
(メール本文には状況説明や制作過程ムービーが記載されています)

Week One - The Beginning
Week Two - Making the Buttons
Week Three - Making Your Fabric
Week Four - Cutting
Week Five - Sewing begins
Week Six - Sewing in progress
Week Eight - The final week of sewing
Week Nine - Dyeing
Week Ten - Buttons & Checks
Week 11 - Buttons & Checks / Finished

Week Ten のメールには『ジャケットの製作には8〜10週間かかるといつも言われていますが、今回はもっと長くなりました。私たちのスタッフは少人数で、ワクチン接種後に気分が悪くなったメンバーがおり、各プロセスに通常よりも少し時間がかかります。』とありました。現場の臨場感が伝わってきますね。

instagram に Batch No.7 の解説図があったので貼っときます。

Screenshot 2021-08-28 at 22-58-52 PaynterはInstagramを利用しています 「You know what, every time we talk about moleskin fabric, someo[...]

では手元に届いた実物を確認してゆきたいと思います。
このように紙袋で届きました。送料 + 関税 で6800円も払ったのにこれは悲しい... まぁ実際には梱包材の金額なんてたかがしれていて、物流費や通関手続き費用が高いのですがね。
"THANKS" のメッセージカードとシール(ハガキ大のヤツ)が同梱。

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まずは全体像から。Bill's Blueと名付けられたブルーは私の想像以上に鮮やかで、だけど明る過ぎない大好きな色味。フレンチ・ワークジャケットによく見られるインク・ブルーでしょうか。一発でお気に入り!! Navy にしなくて良かった〜。
デザインとしては5つボタンに大振りのパッチポケットが2つと胸ポケットが付いているというスタンダードなワークジャケット/チョアコートです。

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背中はヨークがあって、ややタイト気味の肩幅ですが稼働性が考慮されています。袖も同様で、あまり太くないですが2枚袖で動きにストレスがないようになっています。シルエットは通常のBOXタイプ。

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生地はモールスキンということですが、私の想像よりは起毛が少なくて(小さくて)、遠くからのパッと身はコットンツイルのようで、触ってみると僅かに起毛した生地と判ります。
ボタンはコロゾ・ナットとありますが、深いブルーに染められています。

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生地感はこちらの方が判るでしょうか。モールスキンというよりピーチスキンという方がシックリ来るかな。肉厚感のあるミッド・ウェイトで大好物です。モールスキンを100年近く織り続けてきた古いフランスの工場から調達したとあります。ボタンは4つ穴で糸をクロス渡しでギチッとキツめに付けられています。イイ仕事と思います。

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襟は大き過ぎず小さ過ぎずのダブルステッチ。
ブランドネーム・タグを見ると Made in Portugal とあります。彼らのwebページにも「イーストロンドンでデザインし、ポルトガル北部の小さな家族経営の工場で作られます」とあるのでその通りなのですが、今やヨーロッパ・メイドの多くはポルトガルですね。

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襟裏のジグザク・ステッチはもはや定番。補強の意味があると言われていますが、「実はあまり意味はない。見た目だけ」との話もあります。でもコレがないと物足りなく感じてしまうのも事実。

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ブランドネーム・タグには手書きで「345B」の文字が。シリアル番号です。最後の B は Bill's Blue を表すようです(instgram のビデオで、色毎に最後のアルファベットを変えてました)。

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袖口は一つボタン。シャツのように捲り上げる訳じゃないのでこれで充分。
身頃裾の処理もシッカリしていて良いです。よく見るとポケットは真四角じゃなくて角がカットされてます。こんなトコロにもこだわりがあります。

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内側はライナー無しの一枚仕立て。ワークジャケットなのでバサっと羽織る感じでしょうか。右胸には内ポケットがあります。
写真を撮ってませんが、実は左胸の内側にもライター大の内ポケットがあります。ペンホルダーでもないし用途がかなり限定されますね。

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(左) Batch No.7 用の限定ラベル。"CONSTRAINS" のアナグラムです。
最初の紙袋に「Constrains make you interesting」とあるように彼らにとって意味のある単語なのだと思うのですが、"制約" の意図するところがよく判りません。
(右) サイズは XS。予備のコロゾ・ボタンが1つと「Constrains make you interesting」の解説文(?)付き。

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size : XS (サイズは cm 表記)
Pit to pit : 50
Waist width : 48.5
Body Length : 68
Shoulder to shoulder : 40
Sleeve Length incl cuff : 61
Chest (inches) : 30-32

てな訳で、格別高級な生地を使っていることもなく、手の込んだ装飾が施されているでもなく、至ってフツーのワークジャケットです。
でもどことなく全体的に温かみがあります。
多少の汚れなど気にせずガンガン着込みたいです。もし汚れたら洗濯機で洗っちゃえば良いし。味が出るよう頑張ります。押忍。

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