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橋本倫史と平民金子がぽつぽつ語る会

4月30日(土曜)11:00-21:00
「橋本倫史と平民金子がぽつぽつ語る会」

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場所:西灘文化会館(神戸市灘区倉石通2-2-29-1F)


参加チケット:『水納島再訪』1,760円(税込)

本をご提示いただければ、無料で入場いただけます。
事前にお近くの書店でお買い求めの上、ご来場ください。
途中から入場される場合、登壇者に本を掲げてください。


開始日時:2022年4月30日(土曜)11:00-21:00(仮)

終了時刻はあくまで目安です。
予定時刻より早く終了する場合もございます。
また、途中で適宜休憩を挟む予定です。

定員:25名ほど(先着順)

途中で入退場できるように、ゆとりを持って座席を配置します。
最初から最後までトークを聴き続ける必要はありませんので、
お好きなタイミングで来場/退場いただければと思います。

※登壇者も途中で一時退席する場合があります。

もしお席を確保できなかった場合、
しばらく市場を散策して、様子を伺ってみてください。


【注意事項】

入場時の手指消毒にご協力をお願いいたします。

体調の優れない方はご来場をお控えください。

会場内ではマスクを着用ください。

会場内でも自由に飲み物をお召し上がりください。
ただし、水分補給時以外はマスクの着用をお願いいたします。

トーク中でも、ご自由に途中入場/途中退席ください。

客席配置イメージ(右側のテーブルにも座席を配置します)

座席は木製の丸椅子を使用します。
硬さが気になる方は、座布団の持参をお勧めします。
また、会場近くの布団店で座布団を購入いただけます。



【開催に際して】

 『水納島再訪』(講談社)を刊行して、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。本の刊行を記念して、誰かとトークイベントを開催したいなと思ったとき、思い浮かんだお相手のひとりが平民金子さんでした。

 平民金子さんと最初にお会いしたのは2020年2月8日、旧グッゲンハイム邸で「まちのかたち キオクノキロク」というトークイベントが開催されたときでした。ちょうど読売新聞で平民さんの『ごろごろ、神戸。』の書評をした直後だったので、もし「なんやあの書評は!」と言われたらどうしようかとそわそわしていた記憶があります(書評を書くということは、たとえそれが批判的な書評でなかったとしても、著者に対する贈与ではなく、その書評について著者がどう感じるかは抜きにして書くので、常に緊張します)。

 だから、最初に平民さんと言葉を交わすとき、かなり身構えていた記憶があります。でも、平民さんが最初に言ったのは、「寿司行きます?」でした。もしかしたら物言いは微妙に違っていて、「寿司食べます?」だったかもしれないし、「寿司行かへん?」だったかもしれません。とにかく、「どうもどうも、平民金子です」だとか、「書評書いてくださってありがとうございました」だとか、「なんやあの書評はしょうもないこと書きやがって」だとか、そういった社交としての挨拶ではなく、そういった余計な言葉はすべて省いて寿司に誘われたことに衝撃を受けたことをおぼえています。

 そのころ、僕は『あまから手帖』で「家族のあじ」という連載をしていました。月に1度、京都・大阪・神戸のいずれかの街に出かけ、家族で切り盛りされているお店を取材する、という企画です。ほどなくしてコロナ禍になり、取材に行けない月もありましたが、東京から関西に出かけるたび、平民さんに「もしご都合つくようであれば、会いませんか」と連絡をとっていました。コロナ禍になり、誰かと待ち合わせをする、という機会がほとんどなくなってしまった中で、平民さんは待ち合わせをする数少ない相手でした。

 待ち合わせる場所は、大抵の場合神戸の岩壁でした。夜になってから、缶ビールを何本か買い込んで岸壁に向かい、大まかな時間を伝えて待ち合わせをする。顔を合わせても、すらすらしゃべるというわけでもなく、最初の1時間ぐらいはただ押し黙って海を眺めているだけ、という日もありました。いきなり「寿司行きます?」という人に、取り繕うような言葉を伝えるわけにもいかず、海を眺めているうちに出てくる言葉をぽつぽつ話す、といった按配でした。そうして途切れ途切れに話しながら、書くことと書かないこと、書く、あるいは見るということにつきまとう何かのことを、ぼんやり考えていたように思います。

 そこで考えたことは、『水納島再訪』という本とも、どこかで繋がっています。そこに暮らしているわけでもなければ、特にゆかりがあるわけでもないものの、その島で「このまま行けば無人島になる」という言葉と出会ったときに、自分は何を書くことができるのかと考えながら、取材をして、原稿にまとめました。

 原稿を書いたあとになって、平民さんもまた、水納島で過ごしたことがあると知りました。そこで4月30日に、平民さんと西灘文化会館で待ち合わせて、水納島のこと、『水納島再訪』のことを軸に、お話しすることに決めました。いわゆる「トークイベント」ではなく、これまで岸壁で話したように、ぽつぽつと話をできたらと思っています。(文=橋本倫史)


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