書評2020-2021

 2020年から2年間、読売新聞の読書委員を務めているあいだ、何回書評を書いたのかと数えてみると、ちょうど40回でした。2冊を合わせて1本の書評にした回もあり、「夏の1冊」や年末の「今年の3冊」も合わせると、53冊を取り上げたようです。この53冊を、ここにまとめておきます。


グレン・サリバン 著
『海を渡ったスキヤキ アメリカを虜にした和食』中央公論新社


平民金子 著
『ごろごろ、神戸。』ぴあ


能町みね子 著
『結婚の奴』平凡社


グレイソン・ペリー 著 小磯洋光 訳
『男らしさの終焉』フィルムアート社


エドゥアルド・ガレアーノ 著 久野量一 訳
『日々の子どもたち あるいは366篇の世界史』岩波書店


木村セツ
『90歳セツの新聞ちぎり絵』里山社


三上智恵 著
『証言 沖縄スパイ戦史』集英社新書


山田英生 編
『温泉まんが』ちくま文庫
※2020年4月26日掲載「おうちで読書」


つげ義春 著
『つげ義春日記』講談社文芸文庫
※2020年4月26日掲載「おうちで読書」


上出遼平 著
『ハイパーハードボイルドグルメリポート』朝日新聞出版


野中モモ 著
『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』晶文社


ウィリアム・マクドナルド 編 矢羽野薫・服部真琴・雨海弘美 訳
『ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』河出書房新社


坪内祐三 著
『みんなみんな逝ってしまった、けれど文学は死なない。』幻戯書房


亀和田武 著
『夢でもいいから』光文社
※2020年8月9日掲載「夏の1冊」


柴崎友香 著
『百年と一日』筑摩書房


山本美希 著
『かしこくて勇気ある子ども』リイド社


樺山聡 著
『京都・六曜社三代記 喫茶の一族』京阪神エルマガジン社


村岡俊也 著
『新橋パラダイス 駅前名物ビル残日録』文藝春秋


ディアドラ・マスク 著 神谷栞里 訳
『世界の「住所」の物語 通りに刻まれた起源・政治・人種・階層の歴史』
原書房


武田砂鉄・大石トロンボ・山下賢二・小国貴司
Z・佐藤晋・馬場幸治・島田潤一郎 著
『ブックオフ大学ぶらぶら学部』夏葉社


上間陽子 著
『海をあげる』筑摩書房


岸政彦・打越正行・上原健太郎・上間陽子 著
『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』ナカニシヤ出版


坪内祐三 著
『本の雑誌の坪内祐三』(本の雑誌社)
※2020年12月27日掲載「今年の3冊」

九龍ジョー 著
『伝統芸能の革命児たち』文藝春秋
※2020年12月27日掲載「今年の3冊」


タラ・ウェストーバー 著  村井 理子 訳
『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』早川書房


増田薫 著
『いつか中華屋でチャーハンを』スタンド・ブックス


森功 著
『鬼才 伝説の編集人 齋藤十一』幻冬舎


柳澤健 著
『2016年の週刊文春』光文社


稲泉連 著
『廃炉 「敗北の現場」で働く誇り』新潮社


都築響一  編
『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』ケンエレブックス


野村克也
『弱い男』星海社新書


神里雄大 著
『越えていく人 南米、日系の若者たちをたずねて』亜紀書房


今日マチ子 著
『Distance わたしの#stayhome日記』rn press


磯部涼 著
『令和元年のテロリズム』新潮社


成馬零一 著
『テレビドラマクロニクル 1990→2020』PLANETS


西森路代・清田隆之・松岡宗嗣・武田砂鉄
前川直哉・佐藤結・岩根彰子・鈴木みのり 著
『「テレビは見ない」というけれど
 エンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーから読む』青弓社


佐久間文子 著
『ツボちゃんの話 夫・坪内祐三』新潮社


ニコラス・スミス 著 中山宥 訳
『スニーカーの文化史 いかにスニーカーはポップカルチャーのアイコンとなったか』 フィルムアート社


平野紗季子 著
『味な店 完全版』マガジンハウス


吉野孝雄 著
『宮武外骨伝』河出文庫
※2021年8月8日掲載「夏の1冊」


謝花直美 著
『戦後沖縄と復興の「異音」 米軍占領下 復興を求めた人々の生存と希望』
有志社


五所純子 著
『薬を食う女たち』河出書房新社


レスリー・M・M・ブルーム 著 高山 祥子 訳
『ヒロシマを暴いた男 米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦』集英社


草彅洋平 著
『日本サウナ史』カンカンピーポー


本橋信宏 著
『出禁の男 テリー伊藤伝』イースト・プレス


監修・写真=岡本尚文  文=たまきまさみ
『沖縄島料理 食と暮らしの記録と記憶』トゥーヴァージンズ


焦桐 著 川浩二 訳
『味の台湾』みすず書房


松尾スズキ 著
『人生の謎について』マガジンハウス


松尾スズキ 著
『矢印』文藝春秋


堀田絵理 著
『1961 アメリカと見た夢』岩波書店


森まゆみ 著
『聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人』亜紀書房


中部博 著
『プカプカ 西岡恭蔵伝』小学館


岸政彦 編
『東京の生活史』筑摩書房


 読書委員をしているあいだの肩書きは「ノンフィクション・ライター」でした。そのわりに、あまりノンフィクションを書評できていないのではと気にしていたのだけれど、こうしてまとめてみると、思ったよりノンフィクションを書評してました。

 ライターとして仕事をするより先にリトルマガジンを作り、雑誌を中心にお仕事をいただいてきたライターとして、自分が読書委員であるからには、即時性と、雑誌の「雑」の部分を意識しようと心がけていました。最近は「新刊」として書店に並ぶ期間がどんどん短くなっていて、本が店頭に置かれるサイクルが短くなっているのは問題だと思いつつも、なるべく早いタイミングで書くことで、その本が新刊台に並んでいるうちに書評が掲載されるようにできたら、と。新刊書店に並んだばかりの本を買い求め、委員会に諮り、うまくタイミングがはまって発売1ヶ月以内に書評できた本も何冊かありました。「雑」については、他の委員の方たちのように専門があるわけでもないぶん、読者の方が書評欄を開いたときに、「おっ、そんな本が」と感じるような本を入れ込めるようにと心がけていました。

 もしも購入しようと思い立った人がいたとしたら、なるべく最短で買えるようにと、リンクはamazonのものを貼っていますが、2021年12月26日付の「この一年」にも書いたように、読書委員をしているあいだはなるべく書店に足を運んで、新刊台をじっくり見て、書評で取り上げたら面白そうな本はないかとずっと探していました。最近は書籍が「新刊」として扱われる期間がどんどん短くなっていて、その問題はその問題としてあるのは承知しつつも、書評する本が新刊台に並んでいるうちにと、発売されたばかりの本を委員会に持ち込んだことも何度かありました。書店の棚を見ることで、浮かんでくるものがあります。どうにか2年間読書委員を務めることができたのは、書店の棚のおかげです。

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