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HSS型HSP克服のヒント「愛するということ」

ドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロムが1956年に出版した著書「愛するということ」は各国でベストセラーとなり、今現在も多くの方に読みつがれている名著です。

「愛は技術で習得出来るものだ」と説いて、愛を理論立て説明しその習得方法を説きます。

本著の内容は、HSS型HSPの克服方法を考えるうえで、とても大きなヒントをいただきました。また同時に、HSS型HSPの発想とは相容れない壁もみつかりました。その壁を乗り越えてHSS型HSPの克服へどのように役立てようとしているか個人的に考えたことを書いていきます。


フロム氏は、多くの人は愛は、習得するものではなく、「落ちるもの」と勘違いしているといいます。なぜなら、愛は能力のもんだいではなくて「対象」の問題だと捉えているからです。愛情が続かないのは、一目惚れで好きになった対象の相手の内面が良くなかったから、といった感覚です。
しかし、これを繰り返していても愛は見つからない。己を見つめて変わってゆくことで、愛の存在意義が変わってくる。この、己をみつめ変わってゆくことが愛の技術の習得です。


では、どのように己が変わってゆくのか。
それは「脱出⇒新たな誕生⇒覚醒」の3ステップを踏みます。


脱出とは、己の中に抱えたナルシシズム、母親や身内との近親相姦的な固執の克服です。この人間臭いドロドロの渦の中から抜け出す。その克服法は「客観性」をもつことです。客観的に己を見つめることで一人よがりな目線で観ていた世界から脱出して、起きていることをありのままを観るようになる。


次に、信じる能力を磨きます。権威に服従するような根拠のない信念ではなくて、思考や感情に基づいた理にかなった信念をもつ。理にかなった信念の根底にあるものは「生産的」に生きること。生産的に生きて理にかなった信念をもつことで、己のなかに芯のようなものが現れる。


己のなかに芯があると、他人を人類を信じることが出来るように覚醒する。適切な条件さえあれば、人類は平等・正義・愛という原理に基づいた社会秩序を打ち立てることができると前向きに捉えられるようになる。


以上が本書の大まかな概要です。


己を抜け出すことで客観的に世界を捉え、生産的に生きて信念をもつことで、自分と他人と人類を愛せるようになる。
己を抜け出す方法が、過去との決別(もしくは精算)です。過去に起きたことで現在の人格形成に与えている影響を理解する。過去を客観的に見て感情と折り合いをつけ振る舞いをあらためてゆくことは、HSS型HSPがその特異性を持ちながら社会のなかで過ごしてゆくのには重要な考え方だと思います。


一方で、頭の隅の方で違和感を感じました。「客観性をもつことで謙虚さと理性をもつこと」を「一般常識を身につける」と解釈したら萎えました。
一般常識はHSS型HSPにとって、憧れても永遠に手に入らない存在で、また同時に既定のものから飛び抜けたいと思い続けるHSS型HSPにとっては忌み嫌う存在でもあります。
そして、この違和感があると、HSS型HSPの特性上、遅かれ早かれそこから飽きて離れてしまうのを今までの体験から察知しています。だから、この愛の技術習得からも離れていくことでしょう。


だからこそ、本著のメッセージはHSS型HSPにとって有用なメッセージと理解して覚えておきたいです。

「脱出(=過去を精算して客観的な目を持つ)⇒あらたな誕生(生産的に生きて理にかなった信念を持つ)⇒覚醒(他人、人類に可能性があると思う)」という愛の技術は、自分を否定しがちなHSS型HSPにとって、自己愛を育み周囲との調和を保つのに是非とも取り組みたい課題です。

ご質問やご指摘などがありましたら下記までご連絡ください。
Instagram @murmurhsshsp

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