ジャニーズWESTの音楽を生で浴びたら人生が揺れ動いた話。

これっきりにしたくないなって、思ってしまった。
初めて体感した“ジャニーズWESTのコンサート”が終わって、放心しきって呆然としながらなにより最初に浮かんだ言葉が、それだった。

「WESTのライブ当たったんだけど、よかったら一緒にどう~?」
Twitterで知り合ったとは思えないほど、普段から仲良くしてくれているおたく友達から送られてきたそのLINEを目にした瞬間に、「行ってみたい!」の気持ちが抑えきれなくなってしまった。WESTの曲たちを、音楽を生で聴けるという機会が突然目の前で光りはじめて、それを手に取らずにいることができなくて、その日のうちに「行きたいです!」と返事を送った。

とは言っても、私はきちんと彼らのファンでいたわけでは全くない。元がジャニオタなので全員の顔と名前は一致するしそれぞれへのイメージもぼんやりとはあるけれど、詳しく人となりを知っているわけでもなければ、彼らの冠番組もライブ映像もほとんど観たことがなく、どんな軌跡を辿ってきたのかも何も知らない。推しだった嵐を観るためにつけていた音楽番組やゲストに来てくれたバラエティなんかでときどき見かけて、「あ、WESTだな~」ってちらっと流し見するくらいのレベル。印象は「関西のおもろい兄ちゃんたち」。自分が大阪で生まれ育った根っからの関西人なこともあって、なんとなく好感は持っていたけど、推し以外の情報にはとことん無知だったので曲も本当にええじゃないかとズンドコパラダイスしか知らずそのイメージしかなく。楽しそうだけど好みの系統のグループではないな、まあ推しになることはないだろうな~と思っていた。

それが180度変わったのが、たぶん2020年。思い返せばその少し前、歌番組で「Big Shot!!」を聞くようになった頃からかもしれない。それまでなんとなく聞き流していたはずの彼らの曲が、ちょっと違って聞こえるようになった。あれ、WESTってこんな曲も歌うんだな~。なんか今までのイメージとちょっと違うけど、この曲わりと好きかもなあ、と思う。W杯バレーの曲なんか~、デビューして時間経ってからイメージキャラクターやるパターンもあるんやな~、なんて考えながら、以来Big Shotを歌ってる彼らを見るとちょっと集中して見ちゃうようになった。ああ、やっぱなんかいいなあ、ってきっと思ってた。

そして、未知のウイルスに生活が奪われはじめた頃。大学4回生だった私はとにかく病んでいた。就活、卒論、国試対策、やらなきゃいけないことは山のようにあった。でも大学は入校禁止だし友達にも会えない。楽しみだった予定は全部なくなって、家にいるしかなくて何も思い通りに進まない。そして気づけばそれを言い訳にして努力することもなく無為に日々を過ごしている自分。しんどいのは自分だけじゃないのに、何ひとつ自力で頑張れないことに嫌気が差して、何もかも嫌になって。そんな感じで沈みきった毎日が続いていた。

そんな時、たぶん何かの歌番組で、「証拠」を歌うWESTを見かけた。
気づけば釘付けになっていた。心が震えるのが自分でもわかった。

「頑張っている証拠だよ」「間違ってない証拠だよ」
力強くそう歌う声に、自分のなかのいろんなぐるぐるした感情を、まるっと認めてもらえたような気がした。そのままでいいんだよ、って言ってもらったみたいに思えて、きっとあの時、確かに私はジャニーズWESTに救われたのだと思う。

その熱をあたためつづけているうちに、YouTubeにいろんなグループのMVがupされるようになった。CDを買わなくても、無料で誰でも気軽にMVが見られる。ちょっと前までは考えられなかった世界に、すごいなあ、革命だなあとわくわくした。偶然、WESTの新しいMVがレコメンド欄に表示されてくるまでにもそんなに時間はかからなかった。
「あ、WESTの新曲かな?なんか好きそうな雰囲気やし見てみよ~」くらいの軽い気持ちで再生した。

知っている感覚が広がるのがわかった。瞬間的に、あの時と同じだ、と思った。
それが「Rainbow Chaser」との出会いで、後にそれが大切な「7周年」を記念したアルバムのリード曲だったと知った。

あたたかで、まぶしくて、まっすぐでやさしいひとたち。そう感じた。ジャニーズWESTがこんな種類のひかりを持ったアイドルだなんて、まったく知らずにいた。
それからは、新しいMVを見つけるたびにわくわくしながら再生するようになってしまい、そのたびに心を救ってもらった。いつしか、WESTの歌う応援歌を欲して、心待ちにしている自分がいた。

だから、そんな大好きな曲たちを歌う彼らを生で観られるなら。あの曲たちが生で聴けるなら。全然ちゃんとしたファンじゃないけどいいのかな、と思いつつ、その想いにどうしても抗えなかった。
参戦が決まり、既にiPhoneに入れていたrainboWとともにMixed JuiceとW troubleも追加してひたすら聴き込んだ。白状すると、準備が悪すぎていちばん大事なMixed Juiceの予習時間が一週間しかなくなってしまったのだけど、(既に知ってるシングル曲が多くて助かった…)とにかく聴けるだけ聴いて当日に備えた。

そして、いざ会場入りしてみると、客席を埋め尽くすジャス民の皆さんの間に漂う高揚感にすぐに圧倒された。当日になって今更だけど、嵐のライブしか知らなくてほとんど知識もなく、通販が間に合わなくてグッズも持たず、ただ曲が好きだというだけで、映像ですら観たことのない別グループのライブにふわふわ乗り込んできてしまってよかったのか。浮いてしまうんじゃないだろうか。心配が膨らんでしまい、チキンな私はずっと隣の友達にくっついて怯えていた。というのも、友達が引き当てたのはアリーナ席、それもセンターステージがほぼ目の前に見え真横にムービングステージの動線があるという神席だったのである。席がわかった瞬間にふたりして腰を抜かしかけたし、私みたいなのがこんな良い席なんて、もっときちんとファンでいるひとたちに申し訳ないなあとも思いつつ、はじめてのことだらけで動揺しすぎて始まる前から軽くパニックだった。


でも、コンサートが始まってしまうと、もうそこは彼らの世界だった。
カラフルでポップなかわいらしいセットから、思いもよらない方法で7人がステージに現れて、短期間ですっかり聴き慣れてしまった濵田さんのフェイクが耳に届いて、その瞬間にもうたぶん、そういういろいろが全部どうでもよくなっていた気がする。

目の前で、歌って、踊って、叫んで、手を振って。
きらきら笑っているひかりのひとたちのまぶしさを眺めていたら、

机に向かって、ベッドの中で、通勤電車で、幾度となく支えになって、救ってくれた、大好きな曲を。大好きになった曲を。
ぼんやりと聞いたことある程度だった、彼らを印象づけた弾けるような明るい曲を。
その日はじめて耳にした、知らない色を纏った曲を。
ひとつひとつ噛みしめて、こころに留めることに必死になっていたら、

MCで繰り広げられる、関西ノリ全開の明るいおしゃべりにげらげら笑っていたら、
それぞれのすべてをいま、に込めるように、彼らから放たれる熱量と愛情に息をすることさえ忘れていたら、

全部ぜんぶ関係なくなって、気づいたら、ぼろぼろ泣いているわたしがいた。

このひとたちのつくる音楽に救われた理由が、ジャニーズWESTというアイドルに心を惹き付けられた理由が、わかったような気がした。

ただ、必死なんだ、と思った。

いまこの瞬間、この空間に居合わせたひとたちに、そして、居合わせることができなかったひとたちにまで、自分たちと、自分たちの音楽を必要とする全員に。

いま、ここにある想いを、熱を、ひとつ残らず余すことなく届けきるためだけに、彼らは必死で、すべてを注いで、歌っているのだと思った。

すごく楽しそうだった。まぶしいライトを浴びて、汗だくになって、手を伸ばして、笑いあいながら歌う7人が、あんまり綺麗で、あたたかで。もう何度めかの、救われた気持ちになって、涙が止まらなくなった。


「信じた自分見えたなら それだけできっと未来はGREATだろ」

「どんな君も僕が抱きしめるから」

「必ず光がさすよ 毎日に」

「駄目で元々良いじゃない 失敗を恐れちゃ進めない」

「頑張っている証拠だよ」

「あなたは今日もあなたのままでいいんだ」

「僕らは最強なんだぜ さあ、進もうよ」

「大丈夫 みんなにはこの唄がある」


彼らが音に乗せて放つ言葉たちが、彼らの歌うまばゆさが、何度も何度も勇気をくれたのは、沈み込んだこころを救ってくれたのは、

7人に、「伝える力」が、「届けたい!」を伝える熱が、どこまでもまっすぐにひとを想う愛情が、溢れているからなんだって、やっと気づいた。

これはあとから考えたことだけど、たぶん彼らは誰ひとりとして、「うまく歌おう」として歌っていないんだと思う。
実際わたしはライブ中、ジャニーズWEST、めちゃくちゃ歌上手いな!?って2時間ずっと思ってた。でもきっと広い世界を見渡せば、ジャニーズWESTより歌の上手いひとたちだっていくらでもいるんだろうとも思う。
だけど、ジャニーズWESTほど、想いを伝える力とか、届けたいって熱量を乗せながら言葉を感情で彩って歌える力を持ったアイドルを、たぶんわたしは他に知らないな、って思っています。

うまく歌いたいからじゃなくて、ただ届けたいから歌う。届いてほしいから歌う。
彼らが歌っているのはそういう歌で、それが彼らの歌う理由で、輝く理由で。
だからジャニーズWESTが歌うひかりには、きっとこんなに、ひとを支える力がある。

ただ「頑張れ!」って言うんじゃなくて、「きみは頑張ってるんだよ」って、
「どんなあなただって、間違いじゃないんだよ」って、
そうやって認めてくれる歌だから。届けてくれる声だから。

だからわたしは、ジャニーズWESTの歌を、ジャニーズWESTというアイドルを、
いつの間にかこんなに好きになっていたのだと思います。

たくさんたくさん、支えてくれてありがとう。救ってくれてありがとう。

「明日も頑張れよ!明後日も頑張れよ!」
「今日も頑張れよ~!!!」

最後の最後に叫んでくれたあの温度が、
いまもずっとわたしの、いまを生きる理由でありつづけています。

これっきりにしたくないって、思わせてくれてありがとう。
こんなに夢中にさせてくれてありがとう。

『自分の存在そのものをまるごと認めてもらえて、人生ぜんぶをまるごと応援してもらったライブ』

そう思えるくらいに、きっと一生忘れられない、しあわせな景色と思い出を、本当にありがとう。

いま、おたく人生初の「現場落ち」を体験してしまって、一気に色づいた日々にひたすらあわあわしています。新規ハイって、やっぱり何回経験してもめちゃくちゃ楽しい。毎日がしあわせ。

いまさら遅いかもしれないけれど、でもなんだか彼らなら、
「よく来たな!一緒に行こうぜ!」って言ってくれちゃうような気がしてしまって、また今日も“元気を出すためのジャニーズWEST”と名付けたプレイリストを聴きながら歩く日々が続いてしまっています。

はじめてライブに行って、曲だけじゃなくて、7人ひとりひとりのことが大好きになってしまったから。
7人が進んでいくこれからの旅路を、隅っこからこっそり応援したいと思っててもいいですか、って、
みんなには確かにひとを惹き付ける力があって、それに救われた人間がいるんだよ!って、
それからシンプルに、ジャニーズWESTのライブ、なんにも知らない人間でもめちゃくちゃ最高になれてしまう素敵な素敵な空間だったよ~~!!ってことを叫びたかっただけの、ただただ自己満足なひとりごとでした。

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