幸福の科学が、前日に公開した映画の内容と"180度逆"の見解を発表 大川隆法は「哀れで孤独な老人」ではない?

幸福の科学が9月30日、「見解」と称する文書をホームページで公開した。同28日に発売された、幸福の科学・大川隆法総裁(故人)の長男・宏洋氏の著書『神になりたかった男 回想の父・大川隆法』の内容に虚偽があるとして、大川隆法は「哀れで孤独な老人」ではない、などと反論するものだ。
しかしこの反論は、教団が29日に公開した映画『二十歳に還りたい。』の内容と比べて、大きな齟齬がある。教団広報局が、大川総裁・製作総指揮の映画を踏みにじる異常事態だとして、筆者は急きょ声明を発表した(記事末尾に掲載)。

『神になりたかった男』はタイトルの通り、教団を脱会した大川宏洋氏が、父・大川隆法総裁(故人)の生涯を批判的に回顧する書籍となっている。大川総裁を「非モテ」「コンプレックスの塊」などとしており、教団が反発するのは必至だ。教団は旧ツイッター上で、すでに係争中の裁判がある中、新たに宏洋氏らを名誉毀損で提訴すると発表した。

『二十歳に還りたい。』は、大川総裁(故人)が製作総指揮と原作を担当し、全国の映画館で公開されている映画だ。この中で、主人公の寺沢一徳という男は、一代で大企業を築き上げたものの、家族の出奔や離婚、死別の末、天涯孤独となり、老人ホームで暮らしている。老人ホームの職員と一切口を聞かないなど、精神的に参っているらしい描写もあった。また劇中では、寺沢と家族とのすれ違いや衝突が回想され、「後悔のない人生」とは何かが一つのテーマとなっている。

大川総裁(故人)も、老人ホームに入居こそしていなかったが、一代で戦後有数の宗教団体を築き上げた。最初の妻とは離婚し、長男・宏洋氏が脱会し教団を激しく批判。両者とも教団側と民事訴訟で争うまでになった。さらに三男は韓国に出奔した疑いがあるなど、家族との軋轢や争いに苦しんだ人生だった。このような背景事情を踏まえれば、大川総裁が、孤独で家庭問題を抱える寺沢に、自己を投影したことは明らかだ。

ところが、である。

9月30日、教団は〈宏洋氏と(株)幻冬舎の虚偽を明らかにする 『神になりたかった男 回想の父・大川隆法』宏洋著(幻冬舎刊)に対する 幸福の科学グループ見解」〉を発表した。
宏洋氏の書籍の内容について、「このような誤った情報の流布は多くの信仰者の心を傷つける」ため、「宗教的真理の観点から、その過ちを正します」とするものだ。(強調は引用者)

それによると、宏洋氏の本に、「(大川隆法は)哀れで孤独な老人」と書かれているが、これは「全くの言いがかり」だと言うのだ。この見解が発表されたのは、『二十歳に還りたい。』が公開された翌日のことである。

これを受けて急きょ、筆者は以下のとおり声明を発表した。

「宏洋氏『神になりたかった男』 に関する〈幸福の科学グループ見解〉に対する、これってどうなの見解

大川総裁自身が、孤独な老人と自身を重ね合わせたと見られる映画を遺して、今年3月にこの世を去りました。いわば大川総裁の「レガシー」です。その内容をまるごと無視したかのような声明を発表した幸福の科学グループ広報局は、宗教的真理の観点から言えば、教団の崇拝対象である大川総裁を冒涜したと言わざるをえません。多くの信仰者の心を傷つける、許されない行為です。すでに信仰心を持っていない「元2世信者」である筆者ですら、つい大川総裁に同情してしまいます。

そういえば『二十歳に還りたい。』では、寺沢が築き上げた不動産会社も、彼の退社後は寺沢の経営理念が廃れ、外資系コンサルの言いなりになっていると嘆かれていました。教団がこのような体たらくになることを予見していたのでしょうか。きっと、あの世で大川総裁も悲しんでいるでしょう」

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