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幸福の科学の申し立てで、筆者Twitterアカウントがロックされました &正しい「引用」の方法

6月11日、筆者「これってどうなの」のTwitterアカウントがロックされ、一時的に使用できない状態となった。

同日昼頃、Twitter社から筆者の元に合計3通のメールが届いた。内容は、幸福の科学からの申し立てに基づき、筆者のアカウントをロック(一時的に利用不可能な状態)したというもの。
また、そこには、幸福の科学側の申し立ての内容も書かれていた。いわく、私が投稿した大川隆法の写っている画像などが、同教団の公式YouTubeチャンネルの動画のスクリーンショットを無断で掲載したものであり、著作権を侵害しているという。
この主張に基づき、筆者の一連のツイートの画像は、Twitter社により強制削除された。

しかし、教団の言い分にはツッコミどころがあるため、ここに記しておきたい。そしてその後、著作権法に則ったツイートのあり方を、具体例とともに検討したい。

ガバガバなメール文面

Twitter社から届いた1通目のメールを見て、まず私が不信感を覚えたのはここだ。(画像:1通目のメールの文面の抜粋。今回の著作権侵害申立人である幸福の科学の住所等が書かれている。Twitter社は米国の企業であるためか、一部英語になっている。黒塗りは筆者)

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最後の「Fax」欄の記述が抜けている。もっとも、任意なので書かなくても良いのだが、では何故、同じく任意である「Phone」欄は埋まっているのだろう。

同教団はかつて、気に入らない週刊誌「フライデー」の営業を妨害するために発行元の講談社に大量のファックスを送りつけたくせに、自分たちは他所からのファックスを受け取るつもりはないのだろうか。

次に幸福の科学は、私のツイート4件が、幸福の科学がYouTubeに投稿した動画のスクリーンショットを無許可で掲載したと主張。その動画のタイトルは「大川隆法総裁「エドガー・ケイシーによる夢判断リーディング」―習近平Xの襲撃に備えよ―悪質宇宙人先遣隊のバトルシップ発見!コロナによる大量殺戮の目的は地球征服【Weekly With Savior】」。

こんな常軌を逸した動画タイトルを入力し、Twitter社宛に送信するなんて、筆者だったらできない。今回の申立人である「幸福の科学 担当チーフ」A・H氏の勇気には感服だ。ちなみにこの人物、幸福の科学ウォッチャーでもある筆者も聞きなれない名前・肩書き。通常であれば、こうした書面は同教団の代理人弁護士などが書くパターンが多いのだが、なぜか今回は違うようだ。

そして、上記動画の画像を無断で使用したとされるのが、次の4つのツイートだ。

> https://twitter.com/asasfjgg/status/1402639297577033729
> https://twitter.com/asasfjgg/status/1402636872275267585
> https://twitter.com/asasfjgg/status/1402261499893137412
> https://twitter.com/asasfjgg/status/1402204591295328257

しかし、実際に当該動画とツイートを見ていただければわかることだが、4つめのツイートは明らかに当該動画のスクリーンショットではなく、出典は別である。どう考えてもミスとしか思えない。
なおTwitter社も、このツイートだけは画像を削除していない。

以上が1通目のメール。そして3通目のメールの文面にはさらなる誤りが。(画像=ぼかしは筆者)

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なんと、画像の著作権者(Copyright owner)がA・H氏の名前になっているではないか。他の2通では「幸福の科学」となっているのに。

かつて同教団は、幸福の科学学園の批判記事を書いた週刊新潮に「当教団のコメントと、記事に載っている識者への質問が食い違っている(要旨)」という、不可解な難癖をつけたことがある。しかし今回のメールの文面は確かに、間違いなく「食い違って」いる。

参照:「週刊新潮の“学園報道”=幸福の科学の珍反論を検証する」(やや日刊カルト新聞)

反省と改善例

さて。ここからは、「合法な画像ツイート」のあり方を考え、実践例を示して行きたい。

教団は、自分達の著作物が「幸福の科学に無断で投稿されており、幸福の科学の著作権(複製権、公衆送信権)【の】*1 著作者人格権(氏名表示権)が侵害されております」としている。3通のメールに全て同じ記載があった。

(6/12 10:38追記)3通目のメールでは、上記*1部分が「の」となっているが、他の2通では「及び」となっていた。ここも「食い違って」いる。
凡ミスが多い… きっとA・Hさん、いつも教団に批判的なマスコミを脅している教団広報や弁護士と違って、この仕事に不慣れだったのでしょうね。なんだか皮肉抜きに可愛そうになってきました。お疲れ様です。

しかしそもそも、公開された著作物は、一定の条件を満たせば、著作者に無断で掲載しても良い。その方法の一つが、「引用」の形で掲載することだ。
引用とは、「自説の展開・補強・証明のために他人の文章を自分の文中に取り入れること」(『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』より)。なお、今回のケースは文章ではなく画像である。

文化庁の「著作権なるほど質問箱」によれば、引用する際に求められる条件は下記の通り。筆者が太字で強調したところが重要な点だ。長いのでサッと読み流して頂いても構わない。

「「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに著作物を利用することができます(第32条)。この要件とは、[1]公表された著作物であること、[2]公正な慣行()に合致すること、[3]報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること、[4]出典を明記すること(コピー以外はその慣行があるとき)です。[2]と[3]の要件については、少なくとも自分の著作物と他人の著作物が明瞭に区分されていること、引用にいてそれなりの必然性があり、自分の著作物が主で引用する他人の著作物は従たる存在であることが必要と考えられます。これらの要件を全て満たしていれば、著作権者の了解は必要ありません」
(6/12追記 「公正な慣行」とはこういった意味ではなく、下記④⑤⑥のことだったようです。よってこの記述は削除します→)(学問やマスメディアの世界には、引用する際の表記に慣行があるが、Twitter上での引用はそもそも慣行が存在しないと思われるため除外)

まとめると、
①公表された著作物か
②引用の目的上、正当な範囲内か
③出典を明記したか
④自分の著作物と引用された著作物の区別が明瞭か
⑤引用に一定の必然性があるか
⑥自分の著作物が主で他人の著作物は従か
がポイントとなる。

さて、これらの観点から、今回画像を削除された筆者のツイートの一つを検証してみよう。

まず、画像はYouTubeの公開動画のキャプチャーなので①はクリア。
また、この画像を使用することは、「大川隆法氏の下顎の位置がとんでもないことになっている」という趣旨の「批評」のために、資料(「従」)として必要不可欠である。従って②⑤⑥もクリア。
となると、問題なのは③と④だ。この反省を踏まえた改善例を以下に示し、本記事の結びとしたい。要は、出典さえ示せば③はクリア。また、そうすることで、筆者の著作物は文章であり、幸福の科学の著作物は画像だと誰もが一目でわかるため、④も自動的にクリアだ。あとは、文章の体裁を少し整えれば、「大川氏の表情について論評するツイートである」ことがより伝わりやすくなるだろう。

改善例「大川隆法さんの表情がとんでもないことになっていました。我々人間が普通に生きていて、下アゴをこんなふうにする機会ってありますかね?
これ、実際に自分のアゴでやってみたらわかるのですが、相当変な位置にありますよww(画像:幸福の科学公式YouTubeより)」


あああ


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