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報われない覚悟

ドラマ『JIN ―仁―』は、現代の医者が幕末の江戸にタイムスリップする話。

そこに出てくる武士の橘恭太郎が好きだ。

恭太郎が町中で歌舞伎役者に「金を貸してほしい」と土下座をするシーンが忘れられない。

「武士なのにみっともない」と町の人たちから嘲笑される、武士としてはあまりにも屈辱的な行為。

背景には、そのことで後に救われる沢山の命があった。恭太郎は、お金を借りたことで命が救われた人たちから直接感謝されることはなかった。

報われないと分かっていて、みっともないことをする。なんて苦しい覚悟だろうと胸が痛んだ。


そんなに大それたことではないけれど、私も守りたい人たちがいて、覚悟を持って臨んだことがあった。

理解されないこともあると分かっていた。あとで誤解を解くこともできなかった。

やっぱり、報われなかった。

いつのまにか、期待をしていたことに気づいた。

失敗もたくさんあった。

傷つけてしまった人もいた。

大きな痛みだけが、心に残った。


今もその時の記憶が、ふとしたときに蘇る。

そんなときは、こうして恭太郎を思い出す。

世の中にはきっと、報われない覚悟で何かをしている人がたくさんいるのだろうと思う。



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