毎年思い出す。

 私は運送会社に務めています。2011.3.11…この日の苦しい出来事からしばらくして、当時務めていた事業所に応援で入ってもらったとあるトラックドライバーを思い出します。
 当時のその日は土曜日で、宮城県への輸送を定期で協力会社に委託している。今回来て下さったのは宮城県へ折り返しで帰られる、初めてウチに入るドライバーさんだった。
『要領わからないよな…。』
誘導しようとしたその時。助手席から女性1人と子供2人が降り立った。その後接岸し積み込み開始。
「ドライバーさん、あの方達はもしかして…。」
直感通り、ドライバーさんのご家族だった。
当時の支店長に声をかけた。仮眠室や食堂を開放してもらって休んでもらおうと思った。支店長が仮眠室にお連れしていた。
 ドライバーさんも真面目に働いてくれた。ギリギリヤバいかなと思った物量を積み切ってくれた。
「全部これからの俺達の役に立っていくものだから!」
ドライバーさんは笑って言った。
 積み込み終了後、奥さんと子供達が沢山のおにぎりを抱えて出てきた。当時の食堂のオヤジが握ってくれたらしい。子供と話した。ゲーム機を握りしめていたので俺は
「君も大事なゲームも無事で良かったね!」
と言ったらその子は…。
「ううん、僕の大事なものはお父さんとお母さん!だから生きててくれたから幸せ!」
と返してきた。私は自分の小ささ、視野の狭さ、命の重さを十分に分かれていない事を恥じた。
 私は今もこのご家族含め、今生きる皆様が小さくても幸せである事を祈っています。明るい未来が見えている事を願っています。
 

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