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梟の森

冬になると、
と言って亜熱帯の当地では最低気温は12℃ほどだけれどでもともかく冬になると、フクロウが来る。
それも寒い夜に。

冬は毎年違う。
気温が10℃近くまで下がる日々もあれば、まるで夏のような暖かさが続くこともある。
気温が低い日々は雨も伴い、木々も虫も何もかもうな垂れたように静かな夜にふと見上げると、

うちの前の電線にフクロウが止まっているのだ。
丸い頭は賢そうで、
性別は分からないけれど輪郭がまだ柔らかく、若い個体な気がする。
アオバズクだと思う。郊外の鳥。
森林性のフクロウはたまに遠くで鳴くだけで、ここには来ない。


うちの前は養蜂用の糖液の甘い匂いがして、虫やそれを追ってヤモリの類が来る。
寒い冬で生き物が活動を止めた夜に、アオバズクはそれらの生き物を食べにやって来る。

たまにフワリと羽を広げ旋回して、そのほとんどは虫の捕獲に失敗してまた元の定位置に戻る。何度も繰り返す。
街灯に照らされた広げた羽は美しい灰色だ。内地のアオバズクとは少し違う。

じっと待つ丸い頭を見ると、何かを占ってくれそうな気がする。
フクロウはそんな鳥。

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