クリスマスツリー

この季節になると、昔家で飾っていたクリスマスツリーのことを思い出す。

クリスマスは好きだし、何かのイベントのために家族みんなで準備をするのも好きだった。でも、1年ぶりに出すツリーは少し押し入れ臭い気がして、というかどうしても葉っぱが落ちてしまうのが汚い気がして、あとあの葉っぱの細かい隙間に埃とかゴミとかついていそうな気がして、あまり好きではなかった。同じ理由で、雛人形とかを出すのもあまり好きではなかった。

我が家のツリーは、多分100cmかもう数十cm程度のもので、子供だった私には十分大きく見えた。赤や青の金属の球と、雪に見立てた綿と(これがまた埃みたいで好きじゃなかった)、プレゼント飾りなんかがついている。あと、一体だけ、クマの小さなぬいぐるみがついていた。

このクマが、なぜだか全然かわいくなかった。目がつり目だし、白目もあったから。

なぜわざわざこんな可愛くないデザインにしたのか。目の部分はシールっぽかったから、印刷ミス及び貼り方ミスだったのか。私はぬいぐるみとかキャラクターが大好きだったけど、このクマだけは好きになれず、あまり見ないようにしていた。視界から外していても、あの辺に悪しきものが存在するという感覚が、その部屋にいる限りつきまとった。クリスマスそのものを嫌いにならずに済んだのは奇跡である。

『あの辺に悪しきものが存在する』という感覚は、他にもあった。おばあちゃん家のテレビ台のガラス戸の中に置いてある、ムツゴロウの置物(なぜムツゴロウ?)。幼稚園で読んだ図鑑か何かのミミズのページ(ページ見開きいっぱいに写真が拡大されている、最悪)。大人になった今では、アパートの廊下で死んでいるセミとかが、それに近い。絶対に動かないけど、気味が悪くて必要以上に避けてしまうもの。絶対に動かない、という条件があるので、これが死にかけのセミだと話が違う。それはただの要警戒対象。

これが好きな人とか猫だと、真逆の感覚になりますよね。そこが光って見えるし、同じ空間にいるだけで幸せ。

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