渇き

私が子どもの頃住んでいた町には、小さな山があって、毎年山開きに家族で行っていた。登山としてちゃんと自分の足で登ったのは1回くらいで、そんなことはどうでもよくて、メインは写生大会だった。

正直毎年毎年何を描いていたのか覚えていないけど、そのときは展望台の近くから、海を一望する景色を私は描いていた。

その頃は風景画に特にときめかなかったけれど、周りに絵が上手いとチヤホヤされ続け、母も絵が好きなので私が何か描けば嬉しそうだったので、とりあえず描いていた。いつものように周りが上手上手ともてはやしだした。通りすがりのおじさんが、「絵が上手い人は、算数も得意なんよ」みたいなことを淡々と言って、去って行った。それだけなんだか心に残っている。

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