安倍派の政治資金問題は派閥抗争の産物

自民党安倍派の政治資金問題は内閣からほぼ安倍派がいなくなる方向で決着しそうです。

これによって内閣支持率が下がり、政治不信が極まったとする向きの報道はいくらでもありますが、当の岸田「総裁」にとっては痛くもかゆくもないでしょう。

直接ダメージを食らっているのは「岸田派」ではなく「安倍派」であって、内閣支持率が落ちたところで国政選挙はまだ当分先です。

衆院選は任期満了時で2025年10月、参院選も2025年7月です。衆参同日選挙になれば激変を望まない有権者が配慮するため、概ね与党有利になります。

そう考えれば、現総裁にとっては先に到来する自民党総裁選で自身が勝つことの方がはるかに重要であって、安倍派が潰れてくれた方が良いに決まっています。大きな選挙が無いときに政治不信や自民党不信となっても内閣にとっては問題ないのです。

歴史を顧みると、かつて、中曽根内閣は組閣時には田中曽根内閣とまで言われるほど、田中派が内閣を牛耳っていましたが、大将の田中角栄がロッキード事件で実刑判決を受け、その批判票もあって大敗した総選挙後に中曽根総裁が田中派の排除を進めました。

1985年には田中角栄が可愛がっていた竹下登による事実上の派閥乗っ取りに遭い、その後は角栄自身が脳梗塞で倒れて政治活動が出来なくなりました。

一方で翌年の衆参同日選挙で歴史的大勝を果たした中曽根首相が総裁任期を延ばして後継指名するほどの権力を握りました。

そのことを考えると、安倍晋三を失った安倍派の瓦解を狙った岸田総裁が、総裁選前に自身の三選を盤石のものにしようとして、このチャンスを活かそうとするのは当然でしょう。

首相になったものの内閣は他の大派閥が要職を占め、その派閥が大将を失い、その後にその派閥議員の大半を退け、次の総裁選で勝ち、来るべき衆参同日選挙で勝てば・・・というシナリオは、まさに80年代の中曽根政権を綺麗になぞっています。

ここまでいくと邪推もいいとこかも知れませんが、そもそも今回の問題のリークがどこから出たのかということも非常に気になります。岸田派のリークかどうかは知りませんが。

今回の安倍派のキャッシュバックなどの情報が、自民党内の岸田派と安倍派の派閥抗争の産物だと言われたくないからか、大手マスコミはあまり派閥間の争いによるものとの見解は出していないようですね。

個人的にはどう考えても派閥抗争だろと言いたいですが、大手メディアの人にとっては通り一遍の自民党批判に終始するのが常識なんでしょうかね。

歴史上、最も自民党内の派閥抗争が激しかった1970年代の新聞記事には、~~派はどう動いたとか、@@派が寝返ったとか散々書かれていたはずですが、一足先にメディア内で派閥政治が終わったとしたら皮肉なものです。

派閥政治批判をしつつ、派閥抗争にまで踏み込まないのはなんでなんでしょうね。

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