ラグビーの選民思想的発想を残念に思う

こんなニュースがありました。

エディーHCがラグビー選手の品位を称賛、「メッシやロナウドが…」
https://www.afpbb.com/articles/-/3250838?cx_part=top_topstory&cx_position=5
ジョーンズHCは、「お互いを尊重し合う」文化をラグビーの特徴として挙げ、「この大会を見るだけでも、その実例がある。他のスポーツでは起こらないことが起こっている」と話した。
「カナダの選手が(台風19号<アジア名:ハギビス、Hagibis>の影響でナミビアとの試合が中止になった後)片づけを手伝ったのは知っているだろう」「バルセロナ(FC Barcelona)やレアル・マドリード(Real Madrid)が台風の被害に遭ったとして、ロナウドやメッシが同じことをするところを想像できるだろうか」

別にエディーHCはサッカーをことさら貶めるつもりはなくて、ラグビー選手のボランティア精神を賞賛したいのでしょうけれど、言い方が下手くそと言わざるを得ないでしょう。

そのつもりは無くともネガティブキャンペーンみたいになってしまっていますし、そもそもサッカー選手にもボランティア精神に溢れる人、立派な人格を持った人はいるはずです。

2001年に起きた、大阪の池田小学校での恐ろしい事件の後、来日していたイングランド代表のサッカー選手、リオ・ファーディナンドは私用での来日中に事件を知り、予定を変更して献花を捧げました。

リオ・ファーディナンド、附属池田小事件を語る
https://qoly.jp/2013/07/26/17782-20130726-rio-ferdinand-tweet
当時リーズに所属していたファーディナンドは、チームメイトでもあるアラン・スミスとともに来日。翌年に迫ったワールドカップの偵察の意味合いも込め来日し、束の間の休息をここ日本で過ごした。
6月10日、日本対フランスのコンフェデレーションズカップ決勝戦。横浜でこの試合を観戦していたファーディナンドは、試合前の黙祷で今回の事件を知る。
そしてこの翌日、当初予定していた京都への観光をキャンセルし、急遽付属池田小学校へと足を運び、校門前に献花をしたという。この休暇にはファーディナンドの母親も同行していており、母親は京都観光を心から楽しみにしていたそうだが、ファーディナンドは「どうしてもあの小学校に行きたいんだ」と告げ、これに母親もこれに同調した。

逆に、ウルグアイ代表選手やフランス人観戦客のように今回のラグビーW杯でかえって品位を落としてしまったラグビー選手・ファンもいます。

ウルグアイ代表選手の暴行騒ぎ、主催者側が店に謝罪 ラグビーW杯
https://www.afpbb.com/articles/-/3249938
日本のメディアによると、ウルグアイの複数選手が飲み物をこぼしたり、壁や鏡を殴ったり、ぬいぐるみを引き裂いたりしたという。また、2選手が店員にタックルをしたとされている。
ラグビーW杯で来日する世界のサポーター、礼儀の国・日本の勘所を学ぶ?
https://www.afpbb.com/articles/-/3248083
フランス人サポーターたちが地下鉄の車内で床に座り、クラウドサーフィング(群衆が頭上に乗せた人を下から支えて、サーフィンのように移動させる行為)に興じる動画がツイッター(Twitter)に投稿されると再生200万回を超えるほど拡散し、同時に日本のネットユーザーたちのひんしゅくを買った。来年開催される東京五輪の前兆ではないかと懸念する声も上がった。

行っている、あるいは好きなスポーツによってその人の人格が規定されるわけではありません。あくまで好みの問題のはずです。こういったラグビー関係者による、サッカー(あるいは野球)と比べてラグビーは〜〜だから立派だ、という発言は今に始まったことではないですが、偏見を交えて言うなら、これこそラグビー関係者による選民思想的発想だと思います。

良いことをするならラグビー関係者でなくてもいいわけですし、悪いことをしたならラグビー関係者でなくても悪い。

物事の善悪の判断にラグビーか否かを持ってくると余計に問題がややこしくなりかねません。

そもそも人間全てが聖人君子になり得るわけがなく、悪い人間よりは良い人間になった方が良いに決まっていますが、だからといってそれをスポーツに絡めて押しつけるとかえって反発されるでしょう。

ラグビーが素晴らしいスポーツであることは今回のW杯で日本中に知れ渡りました。この後なすべきことはラグビーを日本のみならず世界中にもっと普及させることだと思います。そのためにラグビー関係者は何かを貶める形で誇らしげにするのではなく、謙虚さを謙虚に出すべきではないでしょうか。

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